芦田は、優しい少年なのだろう。

 彼が「少女」の死を悼んでいるように、紫藤の話す人たちにも同情めいた感情を持つのかもしれない。

「先生?」

 芦田はまだ、子供だ。

 けれど、それは時折、大人である紫藤を圧倒する。

 そして同時に、芦田はまた、大人になる。

 大人びた表情で紫藤と同じくらいの人生経験を積んだかのように語る。

 紫藤は芦田の表情を読み取ろうとする。

 ふと芦田が言ったのは、自分自身のことではないかと疑問が湧いた。

「お前は?」

「え?」

「お前は、彼女が羨ましかったのか?」

 芦田の眉がハの字になった。