耳に返る、懐かしい声。
 懐かしいと思うことに今は、違和感を覚えるけれど。それも、いつか慣れてしまうのだろうか。

―会ってみたいと思っていた

 私は、あのとき。

 アイスの行方を気にしていたけれど、本当は。否。心の片隅で気付いていて、気付かないふりをしたんだ。

(私は狡い)

―会ってみたいと思っていた

 過去形だったということは、既に、起こった出来事だということ。

 私は、見ないふりをしたんだ。

 唯の告白を、一瞬でも一緒に背負ってやれなかった。

(唯、)

 唯が私を責めたりもしないことを知っていて、見ないふりをした。

 私は目を開ける。

 一歩を踏み出す。