私は、空を見上げる。

 真っ青な空。積乱雲になりそこなった、崩れた山のような白い雲。

(熱い)

 熱い日だ。

 まだ蝉が、鬱陶しいほどに鳴き乱れている。最期の力を振り絞っているのか、悲痛な気さえしてしまう。

 けれど。

 それは、聞いている私が思うだけなのかもしれない。蝉は、何も考えず、ただ、鳴いているだけなのだろう。

 私は足を踏み出す。

 空を仰いで、太陽を見上げた。

 まだ日は高い。

 高いが、落ちるのは早くなってきている。夕闇が近付けば、蝉たちの声は勢いをなくし、代わりとばかりに鈴虫の声が辺りを占める。