私は唯の鼻歌を口ずさむ。

―DELYCOのヴォーカリストは元ヤンなんだって、

 唯から得たDELYCOの情報。

―でも、悪いやつじゃないんだけどって

 私の彼らに関する知識は全て、唯から得たものだ。

―そういう人っているよねぇ

 唯は彼らに関する情報を、何から。誰から、得ていたのだろう。

 私は、唯が必ず音を外すところで、歌を止める。

 耳に返ってくる電子音。それは、嶋木の着信音だ。

 ひとつ外れた音は、唯が必ず外す音。

「さようなら」

 小さく告げる。嶋木に、告げる言葉だ。

 もう、その背も見えないけれど。