唯の先祖は、かなり広大な土地を所有して いたらしい。戦中だか戦後だか、事業に失敗し、そのほとんどを手放した、と。
―親戚が集まれば、どうしたって口の端に上がる
祖父の代にはもう残っていないと言って良かった。残っているのは家と、唯曰く「何にもならない」胸恃だけ。
―会ってみたいと思っていた、
私は、と唯が言葉を震わせる。
―私は、女だから
唯は、桜坂を継ぐために帰った母から生まれた。けれど、唯は女の子で、母には嫁ぎ先に残してきた息子がいる。
桜坂の血を引く、男子が。
親戚たちがこそこそと話す中、唯はどんな気持ちでその話を聞いていたのだろう。
―親戚が集まれば、どうしたって口の端に上がる
祖父の代にはもう残っていないと言って良かった。残っているのは家と、唯曰く「何にもならない」胸恃だけ。
―会ってみたいと思っていた、
私は、と唯が言葉を震わせる。
―私は、女だから
唯は、桜坂を継ぐために帰った母から生まれた。けれど、唯は女の子で、母には嫁ぎ先に残してきた息子がいる。
桜坂の血を引く、男子が。
親戚たちがこそこそと話す中、唯はどんな気持ちでその話を聞いていたのだろう。