男と唯の接点は、たった一度。

 ショッピングモール内の書店。そこで、言いがかりまがいのことをしている男を、唯が注意した。

 たった、それだけ。

 コメンテーターが言った。

「正義感が強いと、生き難い世の中ですね」

 唯は、正義感とかじゃあないと思う。

 ただ、当たり前のことだ。

 それを正義感というなら、そのコメンテーターも男と同じようなことをしているのだろう。