目を開けるけれど、雨に煙った視界は何も見えない。

 私は再び瞼を下ろす。

 生暖かい滴が頬を伝う。何度か拭った後に滴が流れたので、ひりひりと滲みた。

 雨に煙った向こう側。

―りお、

 誰かがいる。

 遠くなる。

 目を凝らして見ようとする自分。言い聞かせるように「これで良い」と繰り返し、遠去かろうとする自分。

 自分自身がせめぎあっている。

―忘れて、

 忘れて良いのだ、と。

 泣いているのに。

 雨の向こう側。泣き声を抑えて、懸命に笑顔をつくろうとしている。

 それなのに。