目が、廻る。

 嫌だ。
 もう聞いていたくない。
 意識を失ってしまえたら良いのに。ここから、世界から逃げ出してしまいたい。

 何もかも、嫌だ。

『過失致死罪で逮捕したとの、』

 あどけなさを残した丸い、笑顔。

(唯、)

 私は足に力を込める。

 過失致死罪。逮捕。桜坂唯。嶋木。

 ぐるぐる廻る、世界を踏みしめる。全体重をかけて、踏み止まる。

「嶋木さん、」

 嶋木の背中。
 彼は振り返らない。けれど音は、私の声は、聞こえたはずだ。

 足を、止めている。