信号機に誘われるまま、嶋木と進む。
 ベンチにはもう、アイスを食べていた男性の姿はない。アイスの、甘い残り香が風に乗って流れてきた気がした。

 ショッピングモールの中では、広場の大画面が地元のニュースを伝えている。

 反対側は書店だ。

―取り寄せてもらったの、

 頬を赤くして、目をきらきらさせていた。

 日記にも、注文の件があったな。

『売り切れ。取り寄せれば三日くらいだって。どこにもなかったから、良かったぁ』

 唯の息づかいまで判る。胸を撫で下ろす仕草。

「行きましょう」

 嶋木の声がほんの少し、固い気がした。

 微かに感じる違和感。私を追い越す嶋木。その後ろ姿。

(視線?)

 視界から書店を外している? 見ないようにしている?

 多少、辺りを見渡すのが自然な行動ではないだろうか。

 嶋木の後頭部は、前を向いたまま動かない。