幼稚園の脇を通る。蜜のような、濃厚な香り。白い花が存在をアピールしている。

 信号待ち。
 ショッピングモールの外。ベンチに座っている、嶋木と同年代くらいの男性。暑さに辟易とした表情で、アイスを食べている。

―秘密だよ、

 唯の声。

―里緒、

 真摯な声が耳に返ってくる。

―誰にも言わないで、

 唯。

「里緒さん? 青ですよ、」

 嶋木が戸惑ったように声を掛けてきた。

「あそこで同じように、唯とアイスを食べて、」

 嶋木の気配。私の視線を追って男性へ向かう。

「唯は、」

―秘密だよ、

「秘密だって、」

―誰にも…

「唯の秘密を聞いた」

―誰にも言わないで、里緒