嶋木が「そうか、」と息を吐く。

「そういうものか」

 呟く。納得しようと、自分自身に言い聞かせているみたいだ。

 視線。

 店員がちらちらと、私たちを見ている。
 私の前にある、空のグラスが汗をかいている。

「出ようか」

 嶋木も気付いたようだ。私が返事をすると、伝票を持ってレジに向かう。

 私も嶋木を追う。

 店を出る。
 また、暑さが肌に貼りついてくる。

「嶋木さん、」

 空を仰いでいた嶋木が「うん?」と振り返る。黒い、丸い瞳が私を捉える。

―里緒、

(ゆい、)

「里緒さん?」

「あの、さっきの、」

 自分の分を支払うと言ったが、嶋木に断られてしまう。

「話を聞かせてもらっているので」

 嶋木が口元を緩める。目を細めたのは、眩しかったからだろうか。