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Juliwolfmunのブログ

腐女子じゃなく主腐じゃないかと自負するもののブログです。
ここのサイトの作品は、二次創作であって、出版社様・原作者様とは全くもって関係がございません。

ああ…そういうことだったのか…



彼は神羅が誇るソルジャー、その中でも最強ランクの1stに史上最年少で昇進した兵士で、片や俺と言ったら希望していたソルジャーになるために何度か適正試験を受けてはいるのだが、魔晄耐性が弱い事と何よりも心が弱い為、判定はDランクばかりの一般兵。
そんな俺にザックスは「トモダチになろう!」と声をかけてきた。

ずっと不思議だった。あれだけいつも人に囲まれているザックスが、自分で言うのもなんだけど、捻くれた可愛げのない俺なんかに興味を示すのかと。
問うと「トモダチになるのに理由が必要なのか?」と毎回あっけらかんとした答えが返ってきていた。


「三人とも、大人としか接する事のない俺を心配してか、同世代の奴とつるむことも大切だとうるさいくらい言っててさ、お陰で俺は友人と呼べる奴には困ることがなかったんだ。」
「クラウドと知り合った時、お前に友情を超えて愛情を感じ始めた時も、それまで身体の欲求解消程度にしか考えていなかった恋人というものの重要性をしつこいぐらい諭された。」



最高ランクのソルジャーたちは、本当にザックスの事が可愛くて仕方がなかったのだろう。
ザックスが毎日抱く女を変えていた頃にも、そういう非常識な事は素人の女性でやるものではないと教え込んだらしい。

「クラウドと住み始めてからも、何度も三人の世話をしに呼び出されてたんだぜ?俺の立場はトップシークレットだからクラウドに言えずに、何度か勘違いさせたよな。ごめんな。」


ザックスと三人のソルジャーとは親密だとは思っていたけれど、そんな立場に立っているとは思ってもみなかった。
見る限り普段は逆に手綱をひかれているようにしか見えていなかったから。


「クラウドと一緒に…ずっと一緒にいたい、二人で幸せになりたいと願ったのは本当の事なんだ。」
「でも、俺には自分を犠牲にしても三人を守り手を下すという使命があったから、凄い葛藤があったのも事実。」
「ニブルヘイムでセフィロスがおかしくなって、お前にトドメを刺させた時…本当はあれは俺がやらなくてはいけないことだったのにな。セフィロスが倒された時、俺の存在意義も終わったんだ。だから、研究室から逃げる時俺は…今度こそクラウドを守りたいと思った。ようやくクラウドだけを守れるんだと思ったら、嬉しかった。」
「ザックス…」

ザックスは俺を抱きしめていた腕をゆっくりと降ろして、俺の方に向き直った。

「でも…このおっさんが、いつまでもクラウドやこの星の人たちに迷惑をかけているから、俺の仕事はまだ残ってるってライフストリームから追い出された。」

と悲しげな微笑みを浮かべ、そのまま体力の回復していないセフィロスのところに駆け寄った。

「セフィロス…ったくよ!あんたが身体を再び持ってくれたんで、また俺の仕事が復活しちまったじゃねーか。」
「すまない。」

さっきまでの勢いは何処へやら、やたらしおらしくなったセフィロスを見て、これがザックスの人柄なんだろうと思い出した。
どんな人間も彼の対人術にかかれば、心の氷が溶けていく。昔の俺もそうだった。
変な独りよがりな高いプライドから、周囲の人々と極力接触を控えて、自分の殻に頑丈な鍵をかけて閉じ籠っていた俺を、あいつは少しずつ時間をかけて取り払ってくれた。そしてそんなあいつに俺は親友以上の感情を抱く事になったのだ。

俺が心の中で葛藤しているうちに二人の話が済んだらしい。

「セフィロス、とにかくクラウドに謝れよ。」
あの目の前の過去の英雄が、銀色の髪を垂らして頭を下げた。
「すまなかった…チョコボ」

本当に昔の狂う前の英雄に戻ったという事は、チョコボというあまり嬉しくない神羅時代のニックネームで呼ばれた事で納得した。
「いや…」
彼のせいで、故郷を失い母さんを失った事は許せる事じゃない。謝られたって両手を挙げて許せるものじゃない。
俺の複雑な表情を見て悟ったのだろう、ザックスがフォローに入る。

「クラウド、お前もセフィロスのした事は許せないだろう。でもここは俺に免じて一旦引いてもらえないか?これからどのくらいの時間がかかるかわからないけどな、俺が責任を持って反省させる。そしてお前たち迷惑をかけた人々への償いもさせるから…頼む!」

そういって俺に頭を下げるザックスに躊躇っていると、ザックスが昔よくやってくれたように、あたたかい手で頭を撫でながら笑いかけた。

「頼むよ、クラウド。これは俺がやらなきゃいけない事なんだ。」

「ねぇザックス、ザックスはどうしてここにいるの?」

最初から疑問に持っていたことをぶつけてみた。

「ん?エアリスと星の声がな、セフィロスがまた変な事考えているから止めて来いと煩くてな。セフィロスが改心するまで戻って来るなって言われたんだ。」
「じ、じゃあザックスは…」

俺の言葉を遮って、ザックスはこう告げた。

「クラウド、ごめんな。俺さセフィロスと一緒に気候のいいコスタの別荘に暮らすつもりだ。」
「えっ!」
「クラウド…お前にはもう仲間がいるじゃないか?俺なんかよりすごい戦いを共にした仲間が。」
俺の戻りが遅いため心配して駆けつけた仲間たちを横目に見て話を続けた。
「それに初恋の相手だって言ってたあの女の子、ティファちゃんと一緒に暮らしているんだろ?」
「俺の分まで幸せになるんだ、クラウド。そして、子どもでも出来たらいつでも遊びに来るといい。歓迎するよ。」

ザックスの言葉が信じられなくて俺は、皆が見ていることも構わず大声で泣きながら怒鳴った。

「ザックスは…もう俺の事なんとも思っていないっていうのか?」

そんな事聞きたいんじゃない!

「無事ミッドガルに行けたら、二人で何でも屋をやるって言ってたのは嘘だったのか?」

ザックスの困った顔が見える。

「俺はまだこんなにあんたの事好きなのに!」

「ごめん!ごめんクラウド。」
差し出した手を引っ込めながら、ザックスが頭を下げる。

「今はお前も混乱している様だから、俺たちまだしばらくはこの街に留まることになると思うから、明日ゆっくり話そう。ごめん、今はとにかくセフィロスを休ませないと限界っぽいからさ。お前も戦って疲れただろう?ゆっくり休めよ。」

そういって、座り込んでいたセフィロスを抱きかかえてザックスは去って行った。


「大丈夫?クラウド…」

ティファの優しい声かけにも答えることなく俺は、初めて仲間の前で静かに涙を流した。





***
エッジと呼ばれる街の外れの、戦いで廃墟と化したのだろう、昔はカフェが何かだったらしき建物の瓦礫を退けて、簡単な空間を作りセフィロスを横にならせた。

ガサコソと漁ると、まだ賞味期限が残っている缶詰などを見つけて、そばにあった材木に火をつけて温め、それをセフィロスに食わせようと調理を始めた。

 しかし、リユニオンしたばかりの身体はこんな少量の食べ物すら受け付けないらしく、一口で床に置いてしまった。

「急には無理だろうけれど、少しずつ食べないとこれから大変だぜ?」
スプーンで救ってセフィロスの口にそれを運びながら忠告してやると、セフィロスはあまり見せたことのない笑顔で俺に聞いてきた。

「チョコボはいいのか?」
「いい、あいつは今はあんなにいい仲間に囲まれて幸せに暮らしているんだ、一度死んだ俺なんかといるよりな。」
「そうか?あいつ、泣いてたぞ?」
「明日、きっとあいつはここに訪ねてくる。その時、俺とあんたの関係を話して別れを告げようと思ってるんだ。」
「本当にいいのか?」 

あまりにもしつこく聞いてくるので、苛立ちを覚え持っていたスプーンを床に叩きつけた。

「嫌でも!俺はあの時、そういう条件で命を与えられたんだろ!するしかないじゃないか!」
俺がひどい剣幕でわめき散らしたので、セフィロスは俺を宥めた。

「それに……生きてさえいれば偶然でも見かける事が出来る…でもここであいつの元に行って、またライフストリームに戻されたらもうあいつの顔を見ることすら叶わなくなる…。でもな、セフィロス。俺が戻れた条件は、『あんたが立ち直るまで面倒をみる』ってことだから、それさえ済めば…いや、その頃にはあいつも幸せになってるさ。」
「ザックス…すまない。」

しおらしい態度で謝るセフィロスに、内心は苛立ちながらさっさと横になるように命令した。

「とにかく今日は休めよ。クラウドじゃないが、あんたもつかれているんだろ?」
セフィロスは、白いその指を俺の頬の傷の上に這わせていた。
「じゃあ、昔のようにキスしろ。そうすれば大人しく寝てやる。」
相変わらずの上からの態度に苦笑いを浮かべながら、要求通りその唇にキスを贈った。すると、セフィロスの冷たい舌が俺の口の中に入ってきて、舌を絡められた。

久しぶりの濃厚なキスなため、息が続かず息継ぎをしようと口を離した時に、セフィロスが囁いた言葉が彼の復活を裏付けた。

「ハァハァ…お前がチョコボとくっついた時に、私がどれだけ悔しい思いしたかわかるか?」
「わかるさ、あんたクラウドに対する態度がトゲトゲしかったじゃん?何度かあいつから、『セフィロスさんは俺の事嫌いなのかな?』って聞かれてたんだぜ?」
「あんたのいう事聞いてさ、まだ誰にもヤラれてはいないからさ、それで我慢してくれよ。」
「まあ、いいだろう。」

満足したのか、先ほどとはうってかわって穏やかな顔で眠っているセフィロスを見ながら、久しぶりに会ったクラウドの事を思い出していた。

あんなに自分の感情を表に出すことを不得意としていたのに、さっきは随分と堂々と自分の感情をぶつけてくれたよな。
もう少年とは言えないほど、立派に成長していたし。可愛らしいというよりか綺麗になってたな。

本当は真っ先に「大丈夫だ」と抱きしめてやりたかった。あの流れていた涙を指で拭ってやりたかった。
明日、もっと泣かすことになるのだろうか?

悲しみに痛む胸を押さえながら、いつのまにか俺も眠りについていた。




See you next time!

2014/01/04