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Juliwolfmunのブログ

腐女子じゃなく主腐じゃないかと自負するもののブログです。
ここのサイトの作品は、二次創作であって、出版社様・原作者様とは全くもって関係がございません。

部屋に戻ると、クラウドの姿はなかった。クローゼットの中の数少ない洋服類も全てなくなっていた。
俺はやるせ無くて、クラウドの寝ていた所に身体を横たえた。
頬に暖かいものが流れるのも構わずに、あの悪夢のミッションから今までの事を思い出していた。

ーー守りたかったんだ。

なのに俺は逃げた。

昔、神羅にいた頃にミッションで最悪な出来事があり、クラウドの待つ部屋に帰ってもいつものようにクラウドを抱きしめることが出来ずにいた時があった。
その時クラウドは
「いくらでも逃げていいよ。でも俺からは逃げないで。俺はどんな事でもザックスを受け止めるからさ。」

そう言って俺を励ましてくれた。

それなのに俺は…結局逃げたんだよな。


クラウドがいなくなったと言う事は、俺が思ったよりも俺に打撃を与えた。

その日から俺は仕事にも行かずに、酒を食らう日々が続いていた。
心配したマイケルがたまに様子を伺いに来ていたようだが、その事すらうっとおしく感じていた日々だった。

酒が切れたのに気がつき、久しぶりに外に出ようかと市場の方に足を向けた時だった。
目の前にエアリスがいた。

エアリスも俺の余りにもの変わりように驚いたのだろう、いつもの軽い笑い声は影を潜めて、真剣な顔で自宅に俺を連れて行った。

「ザックス…本当に大切なものはなぁに?目を閉じてゆっくり考えてみて。そして、浮かんできた顔があなたの大切な人…」

俺は、エアリスに手を握られたまま言われる通りに目を閉じた。
そして、浮かんでくるのはーー

黄緑色の魔晄の入ったポットで、弛んでるクラウド。力の入らないクラウドを抱きしめたまま、敵から逃げまくっている俺たち。

そしてーー


ふと物思いから戻ると、暖かな手の温もりを感じた。エアリスの手だ。

逃げている間は、気も張っていてクラウドを助けるのは俺の義務だとばかりに動けていたのだが、こうやってスラムに逃げ込むことが出来た今、疲れた体を引きずって帰ってきて、最初に目にするのは少しも魔晄中毒から回復の兆しが見えない、排泄すらまともに出来ない感情のない人形のようなクラウド。
そんなクラウドの存在がかなり重荷になっていた。
自分は不幸だと思った。

大切な存在を蔑む様に見つめるようになっていた自分。
エアリスの存在がキッカケになったことは間違いないだろうが、その事がなくてもいずれは同じような事になっていただろう。

目の前の温もりを手にするために、
俺は…大切な手を自ら手放してしまったんだ。

「ザックス?」

黙り込んでしまった俺を心配したのか、エアリスが俺の顔を覗き込んでいた。

「あ、ああ…大丈夫だ、エアリス」
「ザックスの大切な人、今のザックスを望んでいるのかなぁ?」
「あ?」
「きっと望んでいない、よ」
「何も知らないくせに!」

俺の事を知り得ないクセに知ったかぶって話すエアリスにムカついて、荒げた口調で怒鳴ってしまった。
急に大声を出したので怯えたのか、少し目が涙で潤んでいたエアリスに、謝りつつ重い腰を上げてその場を立ち去ろうとした。

「わからない…けど…私がその人の立場だったら、そんなザックスでいられるより、幸せになって欲しいって…思うから…。ザックスの大切な人は優しい人だって…聞いたから…」

周りの音にかき消されそうなくらい弱々しい声で、そう呟いたエアリスがたまらなく愛しく思い、力いっぱい両手で抱きしめた。

「苦しい…よ、ザックス?」
「ご、ごめん!」
「あの…ね、ザックスは幸せにならなきゃ…今は幸せになるための準備期間なんじゃないかな?その人が本当にザックスの運命の人だったら、今は離れてもいつか必ずまた巡り会えるはず。なのに…ザックスがそんなんじゃ…ダメだよ?」

涙で潤んだ瞳で俺を見上げながら呟いたエアリスは、俺をドン底からすくい上げてくれた女神のようだった。

「そう…だな。俺がしっかりしないとあいつを迎え入れる事が出来ないもんな。」
「そうだよ。」
「そっか。じゃあとりあえず、スラムをお花で一杯ミッションを完遂しますか!」
「えっ?」

エアリスのキョトンとした瞳が幸せそうに輝く。そして、恥ずかしさからか俯きながら小さくうなづき、俺の服をギュッと握りしめた。

「そうだね。一杯お花咲かせて、そのお花をザックスの大切な人にプレゼントしようね?」
「ああ。」

俺のいたらなさで、クラウドは俺の元から去っていってしまった。その事は二人の未来の為には必要な事だったんだと、エアリスは教えてくれた。
俺の中で、エアリスもクラウドと同じくらい大切な存在と位置してる事に気がつき、今はとにかくこの優しい彼女を悲しませる事のない様に、毎日を生きて行くことが最善なんだと思った。

「エアリス…」
「うん?」
「ありがとうな!」
「やだ、ザックスったら。らしくない」
「そ、そうか?」
「うん。」
「まあ、いいや。」
「ねえザックス、お昼済んだ?まだだったら一緒にどうかな?簡単な物しか作れないけど。」
「え?あ、ああ、じゃあご馳走になります。」

俺はエアリスにぺこりと頭を下げて誘いに乗った。その様子を見てエアリスはいつもの様にコロコロと可愛い笑い声で俺を家に連れて行ってくれた。