ホンの少しの戯れーー?
ううん、この汚い感情は多分ーー嫉妬
あいつとはかなりの身長差があるから、顔を見ようとすると俺はかなり見上げなくてはいけない。
ーー悔しい。
今日は偶々俺がソファーの上に立っていて、あいつは床に立っていた。そうしたらいつもと違う光景が見えた。
目の前には普段見ることのできない赤い唇。
一人殻に閉じ籠りがちで、周りは全て敵!みたいな身体中にトゲをまとわりつけていた俺に【トモダチ】と言ってくれた唇。
それが目の前にある。俺は吸い寄せられるようにその唇に自分のそれを押し当てた。
それはKissと呼ぶには可笑しいくらいのやり方だったけど、俺は無意識にしていた。
「やめろよ!」
そう言ってあいつは俺を突き放した。
(ああ、これで全て終わりかな?)
俺の突拍子もない行動に、あいつは口元に手を持って行って呆然としていた。本当は拭き清めたかったんだろうか?
そりゃそうだよな。あんたは自他共に認める女の子大好きの下半身大王だもんな。毎日取っ替え引っ換えで、赴任先には現地妻ならぬ現地彼女をキープしていると、まことしやかに噂されているくらいだ。
それに、最近はスラムの花売りの少女がお気に入りで、毎日顔を合わせる度にその子の話を聞かされていた。
俺は「ふーん」としか相槌打たなかったけれど。
でも、俺ね自分の心の奥に芽生えた感情に気がついちゃったんだ。
あんたの事、【トモダチ】としてじゃなく、恋愛感情として好きだって。
母親似の女顔の俺は、田舎にいる時もここ神羅に入社してからも、そういう輩に襲われかけたりしていた。
それが嫌で、何度もあんたに助けてもらっていた。
なのに、その嫌な相手と同んなじ事を俺はあんたにしているんだから、笑えるよな。
今日、スラム街の巡回任務で偶然オフだったあんたを見かけたんだ。
今日は訓練で一日中ソルジャー専用のバーチャルトレーニングルームに拘束されるんだって、ウンザリした感じで話していたのにな。
最近話題に上る少女と楽しそうに花を売っていた。あまりにもあんたが大声で客引きをするから、彼女も照れくさいのか頬を薄っすらとピンクに染めていた。
お似合いだったーー
あいつの目は完全に彼女の方に向いているのが、よくわかった。
悲しかったーー
辛かったーー
もし俺が女だったら、あんたは俺を選んでくれただろうか?女だったら、神羅に入る事もなかっただろうから、あんたに会うこともなかったのだろうけどな。
「もうトモダチではいられないから…」
そう言って俺はザックスの部屋を静かに出て行った。
ザックスは引き留める事もなく、ただただ立ちすくんでいた。
気持ち悪いんだよ!って罵倒してくれればいいのに。あんたはしなかったんだよね。
残酷な優しさーー
珍しく勇気を振り絞って行動を起こした俺には、きっともう二度と鳴らないだろう携帯電話だけが残った。
アドレス帳のZの項目からザックスを消す。消しても指がアドレスを覚えてしまっているから無駄なんだけれど。
時間が経てば、記憶からもデリートすることができるだろう。
2014/05/11
あとがきという名の言い訳
クラウドさん失恋の巻~
たまにはいいんじゃないかな?w