大勢の兵士が傷つき戦う事に疲れ果てただろうソルジャーに向かって行く。
まるで象に向かって行く蟻のようだ。
舞い踊る様な乱舞を繰り返していた彼は、とうとう力付き戦いを辞めて天からのお迎えを静かに待っていた。
俺は、いう事をきかない手足を叱咤し戦場と化した土地で静かに横たわっているザックスの所へ這っていった。
「ザッ…クス?」
目の前には雨なのか、ザックスの身体から流れ出た生命の源である血液なのかわからない、赤い液体が地面一面に流れ出ていた。
俺はその中をザックスの元に急ぐように進んで行った。
途中、片腕のもげた人間だっただろう塊や、人を切って脂まみれになって使用不可能だろう剣が落ちてはいたが、そんなものには目もくれず、俺は自分を護ってくれた最愛の男の元へ辿り着いた。
すでにザックスは起き上がる事は出来ず、辛うじて動く腕を持ち上げ俺の頭を自分の胸板に押し付けた。
「クラウド…ごめんな…俺、もうお前を護ってやれないや…。」
「…」
「ああ、わからないか…。もう俺にはお前の姿を目に映す事も出来ねぇんだ。」
そう言ってザックスは、最後の力を振り絞り自分の愛刀を俺に押し付けた。
「お前にやる。俺の思いや誇り全てをお前にやる。」
「お前は生きるんだ。ここを真っ直ぐ歩いて行けば、ミッドガルに辿り着くはずだ。ミッドガルに行ってスラム街に住む…ドクタージャックスを訪ねろ…そ…いつ…はソルジャーをよく診ていた…医者…だから…お前の事を…悪い風にはし…ないはず…だから…。」
「クラウド…お前が…俺の生きた証…」
「俺が?お前の?証?」
「…そうだ。俺の事…忘れないで…くれよ…な…。」
「ああ、少し…疲れたな…クラウド…少しだけ寝ても…いい…か?」
俺は、その時ザックスが本当に眠たそうに見えたんだ。だから
「おやすみ…ザックス…アンタを…忘れない…ありがとう。」
そう答えたら、ザックスは幸せそうな微笑みを浮かべ眠りについた。
俺はどうしても悲しくなって、心の底から大声を出して叫んだ。
「うわぁぁぁーー!!!」
ひとしきり叫んだら、ふと頭の中がクリアになった気がした。
視線を目に落とすと、見知らぬ男が血塗れで倒れていた。
俺はそれを一瞥して、手元にあった使い慣れたバスターソードを手に持ち、立ち上がった。
「この人は?誰なんだ?…そうだ、ミッドガルに行かないと…?なんでミッドガルに?」
「なんか、すごく大切なものを忘れているような気がするんだが…。」
俺は片手でバスターソードを軽々と持ちあげ、背中に背負った。
この後、クラウドの長く辛い偽りの旅が始まるのだが、それはまた違うお話であるーー
The End
2013/3/15