Their intentions
ーそれぞれの思惑ー 18 *シリアス
「そうか、わかった。引き続き監視を怠るな。」
「ハッ!」
部下からの報告を受けて、グウェンダルが側にいた村田に語りかける。
「猊下、彼らが動き出したらしい。今まで入ってきた情報と総合すると、どうやら大シマロンへ向かったようだ。」
「やっぱりね…。思った通りだ。ウェラー卿の元だね。となると、これは渋谷には聞かせられないね。もうしばらく渋谷にはおねんねしていてもらおうか」
「彼には体力も魔力も精神力も万全にしておいてもらわないと団るしねー。」
この緊張の走る場でも彼は、務めて明るく振る舞っている。皆を変に怖がらせない様に。
猊下は、いくら4000年分の記憶を持っている大賢者だとはいえ、実際はまだ16才の少年なのだ。
猊下こそ、少し休まないと参ってしまう。同年代の者がいれば良いのだが、残念ながら今はいない。親友であるらしいユーリもあの調子だ。どなたかいればいいのだが…。
「猊下、お疲れではないか?少し休まれては?この先いつ休めるかわからなくなると思われますので、今は息抜きされた方がよろしいかと。」
グウェンダルは、そう村田に声をかけた。村田は、休むなどと到底出来ない心境なのだが、グウェンダルの気持ちをくむことにした。
「わかったよ。僕も実のところ疲れているしね。ああ、部屋は用意しなくていいよ。僕、渋谷の部屋にいるから、何かあったら声をかけてね。その際には、さっきも言った通り渋谷には内密にね?」
「猊下、陛下の側には今アリーセ達がついていると思うのだが、彼女達もしばらく体を休ませていないようなので、休むよう言ってやっていただけるとありがたいのだが?」
「君が言えばいいのに」
僕は、彼に素直に疑問をぶつけた。
「あれらは誰に似たのか頑固で、私のいうことなど全く聞かん。これからしばらくこういう状態が続くのならば、あれらの力が必要についてなってくるだろう。そのイザというときに役にたたないと困るしな。」
「ああ、そういうこと…わかったよ、休むように言って聞かせるよ。」
「ご協力感謝する」
そういった魔王補佐官の顔は、すこしばかり安堵の色が浮かんでいた。
村田は少し気がゆるんだのか、大きな欠伸をしながら、魔王部屋に戻っていった。
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2012/2/20