<小論文:4月4>
今月は医療系の問題です。
テーマ:医療倫理・生命倫理
<問題>
医療資源が不足した場合の優先順位の決定方法
<はじめに>
推薦入試の小論文では、一つのテーマを多面的に考える力が求められます。
今回はこのテーマについて、異なる二つの立場から回答例を示します。
高3の受験生や、推薦入試を考えている方の参考になれば幸いです。
小論文では、どちらの立場を選ぶかよりも、理由を筋道立てて書けるかどうかが大切です。
自分ならどの立場で書くか、考えながら読んでみてください。
<回答>
【回答①:最大多数の利益を重視する立場】
感染症の大流行や大規模災害の際、人工呼吸器や集中治療室などの医療資源が不足する事態が起こり得る。そのとき、誰を優先して治療するのかという問題は極めて重い。限られた資源をどのように配分すべきかが問われている。
私は、救える命の数を最大化するという観点を重視すべきだと考える。具体的には、回復可能性が高い患者や、治療によって長期的な生存が見込まれる患者を優先する方法である。これは感情ではなく医学的指標に基づいて判断することで、公平性を保つことができる。また、医療従事者のように多くの命を救う役割を担う人を優先することも、社会全体の利益にかなう。限られた資源で最大の成果を目指すことは、非常時における合理的判断といえる。
もちろん、年齢や社会的地位で差別が生じる危険性はある。しかし、それを防ぐために明確なトリアージ基準を事前に定め、透明性を確保することが重要である。
以上より、医療資源が不足した場合には、救命効果を最大化する原則に基づき、客観的かつ透明な基準で優先順位を決定すべきであると考える。
・・・
【回答②:平等と尊厳を重視する立場】
医療資源が不足した状況では、誰かを優先するという選択を迫られる。しかし、命の価値に優劣をつけることは倫理的に許されるのだろうか。私は、可能な限り平等の原則を重視すべきだと考える。
第一に、すべての命は等しく尊いという前提が医療倫理の基盤である。回復可能性や社会的役割によって優先順位を決めれば、結果として高齢者や障害のある人が不利になる可能性がある。これは社会的弱者の排除につながりかねない。そのため、抽選や受付順など、個人の属性に左右されない方法を採用することが、公平性を担保する一つの方法である。また、医療者個人に過度な判断を委ねず、倫理委員会など複数の視点で決定する体制も必要である。
確かに、効率性を求める考え方には一定の合理性がある。しかし効率のみを優先すれば、医療が守るべき人間の尊厳が損なわれる危険がある。
したがって、医療資源の配分においては、命の平等を基本原則とし、差別を生まない仕組みを整えることが最も重要であると結論づける。
<ワンポイント4:数をこなす>
小論文に大切なのは、まず数をこなすことです。
あるていど書いてみないと、自分のスタイルはできません。
1 最初の5問
高校生の皆さんを見ていると、希望する大学の過去問をやっている方が多いです。
スタートとしてはそれでOK。
それでね、一度書いたものを高校の先生に添削してもらっている。
それを参考にして、二度目のものを書き上げる。
つまり、自分なりの完成答案を作っているのです。
これは、なかなかよいやり方ですよ。
2 次の5問
今度は書きっぱなしでよいです。
たとえば、ここにある小論文コーナーの回答を参考にして書いてみるとか。
このコーナーでは、二つの異なる立場からの回答を載せてあるので、反対説にも目を配れますよね。
両者の違いを意識して答案を書くと、説得力のある小論文が出来上がりますよ。
自分の学部の問題から、気になるものを選んでやってみてください。
********