Kくんからこの本を借りるときに言われたのは、

「これはエッセイなんですけど、必ずしも事実がそのままに書かれているわけではないんですね。作者が、自分の伝えたいことをより伝わり易くするために、事実とは少し変えてえがいている場合があるんです。」

ということでした。

 その後実際にこの本を読んでいて、例えばこの場面なんかがそうなのかなあと思ったのは、『地図のない道』の中で、イタリア北東部を新婚旅行中だった須賀さん夫婦がアクイレイアという町で立ち寄った大聖堂の床のモザイク画。「基本色が青と白に統一された」古いモザイクで、「床ぜんたいが海に見立てられ、数えきれない種類のサカナが」えがかれている。中にはクジラやタコもいる。どんなモザイクなのか自分の目で見てみたくなり、ネットで検索してみました。するとそこには…。