以前の記事の続きです。
円の中心が動いてできる線(センターライン)についての今年の出題例の第2回です。
その1(目黒日大2024)
下の図のような台形ABCDがあり、半径1cmの円が台形の外側に沿って1周します。次の問いに答えなさい。⑴ 辺ADの長さを求めなさい。
辺DCと平行になるようにAから補助線AEを引くと、台形ABCDは①正三角形ABEと②平行四辺形AECDとに分かれる
よってAD=EC=6-2=4㎝
⑵ 円の中心がえがく線の長さを求めなさい。
円の中心は次のような線をえがく(円弧の部分には中心角の大きさががわかりやすいようにかげをつけた)
この線(センターライン)は①上下左右の直線4本と②4つの角にある円弧4つとからなる。それぞれ長さを求めると
- ①直線部分…4+2+6+2=14㎝
- ②円弧部分…4つの弧を合わせてちょうど一つの円周(半径1㎝)になるから 1×2×3.14=6.28㎝
よって14+6.28=20.28㎝
⑶ 円が通った部分の面積を求めなさい。
円が通った部分の面積は原則として「センターラインの長さ×円の直径」で求められる。
例外的な事情(途中にへこんだ部分があるなど)もないので原則どおり計算すると
20.28×2=40.56㎠
その2(豊島岡2024第2回)
半径が3cmの白い円と黒い円があります。黒い円をいくつか使ってできる図形の周りを、白い円がすべることなく転がりちょうど1周して元の位置に戻るとき、白い円の中心Oが動いてできる線の長さを考えます。このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ <図1>のように、黒い円100個をすべての中心が一つの直線上に並ぶように互いにぴったりくっつけて並べました。その周りを白い円がすべることなく転がり1周します。このとき、白い円の中心Oが動いてできる線の長さは何cmですか。
センターラインの全体像は次の黒の太線になる(中心角の大きさががわかりやすいようにかげをつけた)
- このセンターラインのうち赤の点線で囲んだ部分(これはちょうど黒い円1つの真上に位置する)をアとする。アは半径6㎝、中心角60°の円弧だからその長さは6×2×3.14×60÷360=6.28㎝
- そしてアは真ん中にある黒い円98個の上下にあるから合わせて(98×2=)196個のアが真ん中にある
- また半径6㎝、中心角240°の円弧がその両隣りにあるから両はし合わせて8個のアがある
よってこのセンターラインはアの円弧204個 (=196+8)からできているからその長さは 6.28×204=1281.12㎝
⑵ ⑴でできた黒い円100個を並べた図形を[あ]とします。[あ]を2つ用意し、<図2>のように黒い円の中心を結んでできた三角形ABCが正三角形となるようにぴったりくっつけて並べます。
これと同じように[あ]を5段重ねて<図3>の図形をつくります。その周りを白い円がすべることなく転がり1周します。このとき、白い円の中心Oが動いてできる線の長さは何cmですか。
こんどは次の黒の太線のようなセンターラインになる。
これが小問⑴のセンターラインとくらべてどれだけ長くなっているかしらべると
- よく見ると真ん中部分は黒い円98個の上下にアが1つずつあり(アの合計196個)真ん中部分は小問⑴と変わらない
- ちがうのは左右のはしにそれぞれ8個ずつアがある(赤のかげがついたもの)から両はし合わせて16個のアがあること。小問⑴では両はしのアは8個だったからこの部分で小問⑴よりアが8個ふえている
よってこのセンターラインの長さは
1281.12+6.28×8=1331.36㎝