以前の記事の続きです。
今年の中学入試より、忘れ物をして家に取りにもどるという最近よく見るタイプの旅人算の問題です。
その1(芝浦工大柏2024)
Aくんは、家から1.6km離れた学校に通っています。
普段は午前7時42分に家を出て、午前8時7分に学校に到着します。
⑴ 普段、学校に向かう速さは毎分何mですか。
- 学校までの距離は「家から1.6km」=1600m
- これにかかる時間は「午前7時42分に家を出て、午前8時7分に学校に到着」するから 8時7分-7時42分=25分
よって 1600÷25=毎分64m
今日も普段と同じ時刻に家を出て、普段と同じ速さで学校に向かいました。
しかし、学校に向かう途中で忘れ物に気がついたので、急いで家に戻りそのままの速さで学校に向かったところ、学校には普段と同じ時刻に着きました。
ただし、家に戻ってから忘れ物を探す時間は考えないものとします。
⑵ 家を出てから5分後に忘れ物に気がついたとすると、Aくんが家に戻るときの速さは普段の速さの何倍ですか。
Aくん(分速64m)が「家を出てから5分後に忘れ物に気がついた」とき家から 64×5=320mのところにいる。
- 学校まで普段は残り1280m(=1600-320)だが今日は家までの往復640m(=320×2)がプラスされるから今日は残り1920m(=1280+640)進むこととなる
- これを同じ時間で進むには、距離の比が1280m:1920m=2:3だから(距離は速さに比例するから)速さの比も普段:今日=2:3にすることが必要
よってAくんが家に戻るときの速さ3は普段の速さ2の1.5倍
⑶ Aくんは普段の速さの2倍まで、急いで移動することができます。忘れ物をして家に戻っても同じ時刻に学校に到着できるのは、家を出て何分何秒以内に忘れ物に気がついたときですか。
忘れ物に気づいたとき学校までの残りの距離を①mとすると
- Aくんは最速で「普段の速さの2倍」で進むことができるから残りの距離が②mまでなら「家に戻っても同じ時刻に学校に到着できる」。
- 上の図で考えると、このとき家から進んでいた距離▢mについて ▢×2=②-① という関係になっているから ▢=
- したがって(忘れ物に気づく前の距離):(気づいた後の距離)=
:①=1:2 だから学校までの距離の⅓を進むまでに気づけばそこから家に戻っても同じ時刻に学校に到着できる
よって学校までの距離の⅓を進むのに 25分×⅓=8分20秒 かかるから 8分20秒以内に忘れ物に気づいたとき
その2(桜美林2024・3日午後)
桜さんは毎日同じ時刻に家を出て自転車で学校に向かいます。時速20kmで学校に向かうと7時55分に着き、時速12kmで学校に向かうと8時5分に着きます。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ 家から学校までの距離は何kmですか。
速さの比は時速20km:時速12km=5:3だからかかる時間はその逆比で③:⑤。この差②が10分(=8時5分-7時55分)だから①=5分。
よって学校まで時速20kmで行くと③=15分かかる距離だから 20×15÷60=5km
⑵ 桜さんが学校に8時10分に着くには、時速何kmで向かえばよいですか。
(小問⑴より)学校まで時速20kmでいくと15分かかって7時55分に着くとわかったから桜さんが毎日家を出る時刻は(7時55分-15分=)7時40分。
よって桜さんが学校に8時10分に着くには5kmの距離を30分(=8時10分-7時40分)で進む速さだから 5÷30×60=時速10km
⑶ 桜さんは、⑵の速さで学校に向かっていましたが、忘れ物に気がつき、時速12kmで家に戻りました。5分後に家を出て、時速20kmで学校に再び向かったところ、8時22分に着きました。桜さんが忘れ物に気がついたのは家から何km離れたところですか。
時速10kmで進んでいた桜さんが忘れ物に気がついたのは⑥分*進んだときとする(*時速10kmと時速12kmの比5:6よりかかる時間はその逆比6:5となることを利用)。このとき
- 「時速12kmで家に戻」るのにかかる時間は⑤分*
- 「5分後に家を出」たから忘れ物をさがすのに5分かかった
- 「時速20kmで学校に再び向かった」とき(学校まで距離5kmだから)かかった時間は 5÷20=¼時間=15分
するとこの日かかった時間はぜんぶで(⑪+20)分。これが42分(=8時22分-7時40分)だから ⑪+20=42 より①=2分
よって桜さんが忘れ物に気がついたのは 2×6=12分後だから距離にすると(10×12÷60=2より)家から2km離れたところ