以前の記事に関連する話です。
立体図形の一行問題です。
知っておけば立体切断の大問でもいろいろ応用できるテクニックとなっています。
隣辺比(多摩大聖ヶ丘2023第2回)
下の図は1辺の長さが6cmの正四面体です。AE=AF=3cm、AG=2cmとなるような3点E、F、Gを通る平面でこの立体を切るとき、大きい方の立体の体積は、小さい方の立体の体積の何倍ですか。
わかっている長さをまずは図に書きこむ
ここで三角すいA-EFGの体積(「小さい方の立体の体積」)を18(=3×3×2)とすると
- 隣辺比と体積比の関係より三角すいA-BCDの体積は216(=6×6×6)
- 「大きい方の立体」= (三角すいA-EFG)-(三角すいA-BCD) だから大きい方の立体の体積は198(=216-18)
よって大きい方の立体の体積198は小さい方の立体の体積18の11倍
等積変形(札幌日大2015)
右の図のような三角柱ABCーDEFがあリます。辺BE上に点Pを、辺CF上に点Qをとったとき、点A、D、P、Qを頂点とする三角すいの体積を求めなさい。
この三角すいA-DPQは次のようにPをEに動かしQをFに動かした三角すいA-DEFに等積変形できる。
よってその体積は
9×8÷2×6÷3=72㎤
平均の高さ(東京女学館2023第3回)
下の図のように、縦が12cm、横が12cm、高さが16cmの直方体の4つの辺の真ん中の点A、B、C、Dを結んで立体を作りました。このとき、この立体の体積を求めなさい。
ADの真ん中の点、B、Cを頂点とする二等辺三角形(下図の青)を考える。この面積は 12×16÷2=96㎠
求める立体はこの三角形を底面とし、平均の高さ4㎝(=(AD+B+C)÷3)の断頭三角柱とみることができるからその体積は
96×4=384㎤
立体切断(東京都市大学付属2023第3回)
下の図のように、どの頂点にも正方形2個と正三角形2個が集まっている立体Aがあります。あとの問いに答えなさい。
問1 立体Aの面は全部で何面ありますか。
たとえば次のように①の面を上の面と考えて番号をつけながらていねいに数えていくと
- ②③④⑤⑥⑦が上半分の側面(⑤⑥⑦は表から見えない)
- ⑧⑨⑩⑪⑫⑬が下半分の側面(⑩⑪⑫⑬は表から見えない)
- ⑭が底面
となっているので全部で14面
問2 立体Aの辺の数は全部で何本ありますか。
これもていねいに数えていくと
- ①のまわりに3本
- ②③④⑤⑥⑦の間に6本
- ②③④⑤⑥⑦の下に6本
- ⑧⑨⑩⑪⑫⑬の間に6本
- ⑭のまわりに3本
あるから 3+6+6+6+3=24本
問3 立体Aの面で使われている正方形の対角線の長さを1辺とする立方体の体積は、立体Aの体積の何倍ですか。
「立体Aの面で使われている正方形の対角線の長さを1辺とする立方体」とは下図の青の立方体のこと。そこで立体Aはこの立方体の8つの角から合同な三角すい8コを切りとったものと考えると
この立方体の1辺の長さを2とすると、切りとった三角すいの3つの辺(たがいに垂直に交わる)の長さは1だから
- 立方体の体積は2×2×2=8
- 切りとった三角すい8つ分の体積は 1×1÷2×1÷3×8=⁴⁄₃ なので立体Aの体積は 8-⁴⁄₃=²⁰⁄₃
よって 8÷²⁰⁄₃=8׳⁄₂₀=1.2 より
立方体の体積は立体Aの体積の1.2倍