展開図からの体積問題2024 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年出された展開図から体積を求める問題です。

 

  その1(灘2024)

 

ある立体の展開図は図のようになっています。この立体の体積は▢㎤です。ただし、同じ記号がかかれた辺の長さは等しいとします。

 

 

右矢印 この図を組み立てると下図左のような七面体になる。これは大きな三角すいから小さな三角すい(赤)3つを取り除いた形(下図右)

このとき小さな三角すいと大きな三角すいは(辺の比1:3より)体積比は1:27。つまり小さな三角すいの体積を①とすると青の七面体の体積は㉔(=㉗-①×3)

 

よって小さな三角すいの体積①は  ³⁄₂׳⁄₂÷2׳⁄₂÷3=⁹⁄₁₆ だから求める体積㉔は ⁹⁄₁₆×24=²⁷⁄₂=13.5㎤


 

  その2(西大和学園2024)

 

展開図が図のような立体Aについて考えます。展開図を点線で折りたたむと、ぴったりと重なります。また、どの面も合同なー辺の長さが6cmの正三角形でできている三角すいを立体Bとします。以下の▢にあてはまる数を求めなさい。

 

⑴ 立体Aの体積は、立体Bの体積の▢倍です。

 

右矢印 立体Aと立体Bのイメージ図を書くと次のとおり。

このとき

  • 立体Aは下図の黒の二等辺三角形を底面とする断頭三角柱
  • 立体Bは同じ黒の二等辺三角形を底面とする三角柱(が2個くっついた形)

とみることができる。

黒の二等辺三角形の面積を1としてそれぞれの体積を求めると

  • 立体A平均の高さは (6+12+12)÷3=10㎝ だから 1×10=10
  • 立体B1×3÷3×2=2

よって 10÷2=5 より ▢=5倍

 

⑵ 展開図の●をつけた点を通る平面で立体Aを切断すると、2つの立体に分かれます。大きい方の立体の体積は立体Bの体積の▢倍です。ただし●は各辺の真ん中の点とします。

右矢印 立体Aは下図左のように立体㋐(赤)と立体㋑(青)に切断される。

ここで上図右のようなどの面も合同なー辺の長さが3cmの正三角形でできた正三角すい(立体Cとする)を考える。このとき

 

まず立体㋐の体積は立体Cの何倍かを小問⑴と同じように考えると(これも真ん中に面積1の二等辺三角形を考えて)

  • 立体㋐…平均の高さは (6+9+9)÷3=8㎝ だから 1×8=8
  • 立体B1×1.5÷3×2=1

より立体㋐の体積は立体Bの8倍

 

❷つぎに立体Bの体積は立体Cの何倍かを考えると

辺の比が2倍だから体積比は8倍。つまり立体Bの体積も立体Cの8倍

 

❸とすると立体Cの体積を①とすると立体㋐の体積は⑧、立体Bの体積も⑧だから立体Aの体積はその5倍(小問⑴)で㊵

 

よって立体㋑(大きい方の立体)の体積は㊵-⑧=㉜だから立体Bの体積⑧の 4倍

 

⑶ 展開図の〇をつけた点を通る平面は、立体Aの辺PQ上の点Rを通ります。このとき、PRの長さは▢cmです。

右矢印 この平面は次の赤い面のようになる(点Rの位置がまだわからないので4つある辺のうちRを通る2本の点線は仮のもの)

ここで補助線ア、イを次のように引いてその交わる点をS、立体Aの左上の頂点をTとすると手前の面に相似比2:4の相似な三角形ができるからST=6㎝がまずわかる。

つぎにS、T、R、Pのある奥の面に注目すると、次のように等脚台形の右上部分に1辺3㎝の正三角形をつけ足すと△STRより一回り大きな相似な三角形ができる。

このとき相似比が 6:(6+6+3)=2:5 より TR=3×2÷5=1.2㎝

よって PR=6-1.2=4.8㎝ 完了