開票途中の投票算(学習教材に使わないのはもったいない入試問題⑭) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

選挙で当選するには何票とればよいかという投票算ですが、とくに「あと何票とれば当選できるか」という開票途中の投票算は混乱しやすいためねらわれやすいところ。

次の問題などでその考え方を整理しておきたいところです。

 

全校生徒が307人である中学校で生徒会役員を決める選挙が行われました。当選するのは上位3人です。この選挙に7人が立候補しました。ただし、この選挙は1人1票投票するものとし、無効な票はないものとします。(青山学院横浜英和2023)
⑴  当選者の選ばれ方は何通りありますか。

 

右矢印 7人から3人を選ぶ選び方なので 7×6×5÷(3×2×1)= 35通り

 

⑵ 7人の立候補者のうち、2人が女子であるとき、女子が少なくとも1人当選する場合は何通りありますか。

 

右矢印 女子2人のうち①1人が当選する場合と②2人とも当選する場合に分けて考えると

  1. 女子1人が当選する場合…女子の選び方は2通り。当選者あと2人について男子5人から2人を選ぶ選び方で5×4÷2=10通り→2×10=20通り
  2. 女子2人とも当選する場合…女子の選び方は1通り。当選者あと1人について男子5人から1人を選ぶ選び方で5通り→1×5=5通り
よって女子が少なくとも1人当選する場合は 20+5=25通り
 

⑶ 確実に当選するためには、少なくとも何票獲得すればよいですか。

 

右矢印当選するのは上位3人」だから4位以下にならないだけの投票数を獲得することが必要。そこで4位になる最高得票数(これを上回れば必ず3位以内に入る)を考える。

 

全校生徒が307人」で「1人1票投票する」から 307÷4=76あまり3。これは76票取ってもまだ4位になるかもしれないがこれを上回る77票とれば必ず3位以内に入るということ。

よって確実に当選するのに必要なのは 77票

 

⑷ 途中まで開票が進み、下の表のような票数となりました。

このとき、AさんとBさんが次のような会話をしています。[エ]にあてはまる数はいくつですか。

Bさん「私は当選しそうにないかな。残念。Aさんはどうかな。」
Aさん「今のところ4位だから可能性はあると思うけど。」
Bさん「あと何票あればAさんは当選できるのかな。」
Aさん「そうだね。まず、まだ開票されていないのが[ア]票あるよね。」

 

*問われているのはエだけですが、ア、イ、ウと順をおって考えていく必要あるので同じようにやっていきます。

右矢印 いま開票されたのは163票(=25+6+19+29+11+38+35)。「全校生徒が307人」でぜんぶで307票だから 307-163=144 より

 ア=144票

Bさん「5位以下の人には票が入らないと考えて、上位4人の中で3位に入るために必要な票数を考えればいいんじゃない。」
Aさん「そうだとすると、4人の票と残りの票を合わせた[イ]票について考えればいいね。」

 

右矢印 いまの上位4人の票は127票(①Fが38票、②Gが35票、③Dが29票、④Aが25票。これの和)。ここにまだ開票されていない144票をたすと

 イ=271票 

 

*会話ではふれられていませんが、いまの時点で誰も当選確実な77票に達していないことを前提とした議論になっている点、注意が必要です。仮に当選確実な人がこの時点でいたらその人はのぞいて考える(たとえばFさんが38票ではなく77票だったら「5位以下の人と1位の人には票が入らないと考えて」Fさん以外のG、D、Aの3人による4位争いを同じ手順で考える)こととなります。

Bさん「[イ]票を上位4人で取り合うとすると、4位の人は最大で[ウ]票獲得する可能性があるね。」

 

右矢印 271÷4=67あまり3。これは67票とってもまだ4位になる可能性(ほかの3人が68票ずつとったとき)があるということ。

よって4位の人が獲得する最大票は

 ウ=67票

Aさん「じゃあ私が当選するためには、あと[エ]票入ればいいってことだ。どうか当選しますように。」

 

右矢印 ということで67票を上回る68票を取れば必ず3位以内に入れることとなる。

よっていまAさんは25票をとっているから 68-25=43 より

 エ=43票 完了