図形の移動⑧ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

いろいろな図形が転がったり回ったりするときの点の動きや面積についての出題例の第8弾です。

 

  三角形の転がり(江戸川女子2023年第2回)

 

図のように、一辺3cmの正三角形を、同じく一辺3cmの正三角形にそってすべることなく転がします。三角形がもとの三角形と重なるまで回転させたとき、点Aが動いた長さは▢cmです。ただし、円周率は3.14とします。

 

右矢印 点Aの動いたあとは次のような半径3㎝、中心角240度の弧を2つつなげた形になる。

よって

 3×2×3.14×240÷360×2=8×3.14=25.12㎝

 

 

  おうぎ形の転がり(海城2023第2回)

 

半径が9cm、中心角が40°のおうぎ形ABCがあります。おうぎ形ABCは、図のような位置から直線の上をすべることなく右方向に回転して、Aが再び直線上にくるまで進みます。このとき、Aが動いた道のりは何cmですか。

 

 

右矢印 Aの動いたあとは次のような線になる。これを①弧の部分(最初と最後)と②直線部分(真ん中)に分けてそれぞれ長さを求めると 
  1. 弧の部分…「半径が9cm」の円周の半分(最初が¼と最後が¼の和で)だから 9×2×3.14÷2=9×3.14
  2. 直線部分…「中心角が40°」の弧BCの長さだから  9×2×3.14×40÷360=2×3.14
よって (9+2)×3.14=34.54㎝
 

 

  三角形の回転(夙川中2023第2回)

 

右の図のように、AB=20cm、BC=12cm、CA=16cmの直角三角形の板があります。この板の上に『回転の中心となる点』をとり、下の図のように直角三角形を 1回転させます。このとき、直角三角形の板が通った部分の面積について次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とし、回転の中心は三角形の内側(ふちの辺と頂点を含む)にとるものとします。

⑴ 点Cを回転の中心にとったとき、直角三角形の板が通った部分の面積を求めなさい。


右矢印回転の中心となる点」を「中心点」というと「直角三角形の板が通った部分」は中心点から一番遠い点(「遠い点」という)と中心点を結んだ線を半径とする円になる。

 

Cを中心点としたとき遠い点はAとなるから、板が通った部分は次のように辺CA(長さ16㎝)を半径とする円になる。

よってその面積は

 16×16×3.14=803.84㎠ 

 

⑵ AC上の、ACを7:9に分ける点を回転の中心にとったとき、直角三角形の板が通った部分の面積を求めなさい。

 

右矢印 「ACを7:9に分ける点」を中心点としたとき、「CA=16㎝」だから中心点からCまでの長さは9㎝。そしてBC=12㎝だから(ここにも3:4:5の直角三角形ができて)Bから中心点までの長さは15㎝となる。

よって半径15㎝の円の面積を求めると

 15×15×3.14=706.5㎠

 

⑶ 直角三角形の板の上のいろいろなところに、回転の中心をとるとき、この板が通った部分の面積はいろいろな値をとります。これらの値のなかで最大のものをM㎠、最小のものをN㎠とするとき、Mの値(単位はいりません)を答えなさい。また、の値を答えなさい。

 

右矢印右矢印右矢印

Mの値

まず面積が最大となるのは中心点と遠い点が一番はなれるとき。これは中心点がAで遠い点がB(またはその逆)となるとき

このとき円の半径はABの長さで20㎝だから

 M=20×20×3.14=1256㎠

よってMの値は 1256 

 

の値

つぎにNの値を考えると面積が最小になるのは円の直径がABとなるとき(直径がABの長さより短い円はできない)

 

このとき円の半径は10㎝だから

 N=10×10×3.14=314㎠ 

よっての値は 314÷1256=¼ 完了