相似と比合わせ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

図形の相似の分野で安定の定番問題といえるのが連比を求める問題です。

大問で出ることも多いですが、比合わせの基本型があり一度集中してこの手順をマスターしておけば、もし出たらほぼ10点かせげるという案外コスパのいい定番問題と言えるかもしれません。

 

  その1(東京都市大学付属2023)

 

下の図の平行四辺形ABCDにおいて、辺BC、CDのちょうど真ん中の点をそれぞれE、Fとし、辺AD上でAG:GD=2:3となる点をGとします。また、AEとBGが交わった点をH、AFとBGが交わった点をIとします。あとの問いに答えなさい。

問1 GI:IH:HBを、最も簡単な整数の比で表しなさい。

 

右矢印 2組の相似形を見つけることがスタートでこれがないときはこの線がもしあれば相似が2組できるという補助線を考える。

するとたとえば次のGP(ABともDFとも平行)がある。

具体的な長さが問題文にないのでひとまずAB=DC=10として考えると

  • △AGPと△ADFは相似。Gは「AG:GD=2:3となる点」だから相似比は2:3となり GP=2(DF=½×DC、GP=⅖×DFより)
  • △ABIと△PGIも相似で(AB:PG=10:2より)相似比は5:1。とするとGI:IB=1:5…㋐
またAD=BC=⑩として考えると
  • △AGHと△EBHも相似で相似比は4:5(AG=⅖×AD=④、BE=½×BC=⑤より)。とするとGH:HB=4:5…㋑

よって㋐と㋑を比合わせすると(㋐の左右の和6と㋑の左右の和9の最小公倍数18に和をそろえて)

 

 GI:IH:HB=3:5:10 

 

問2 (三角形BEHの面積):(四角形GIFDの面積)を、最も簡単な整数の比で表しなさい。

 

右矢印 小問⑴と辺の比と面積比の関係より△AGBのなかにある3つの三角形の面積は次のように3、5、10とおくことができる。

このとき

  1. AH:HE=4:5だから三角形BEHの面積は 10÷4×5=12.5
  2. Fは「CDのちょうど真ん中の点」だから△ADFは平行四辺形ABCDの¼倍。また平行四辺形ABCDの面積は△ABGの5倍(AG:GD=2:3より底辺が³⁄₂倍、高さは同じだが三角形が四角形になるので2倍)で90。とすると△ADF=90×¼=22.5。したがって四角形GIFDの面積は 22.5-3=19.5
よって三角形BEH:四角形GIFD=12.5:19.5=25:39

 

 

  その2(巣鴨2023)

 

下図のように平行四辺形ABCDがあり、辺ABを2:1に分ける点をE、辺BCを1:3に分ける点をF、直線DEと直線AFとの交点をG、直線DEと直線ACとの交点をHとします。このとき、次の各問いに答えなさい。

⑴ AH:HCを、最も簡単な整数の比で求めなさい。

 

右矢印 △AEHと△CDHが相似比2:3の相似形だから AH:HC=2:3

 

⑵ AG:GFを、最も簡単な整数の比で求めなさい。

 

右矢印 2組の相似形を見つけることがスタートなので相似形が2組できるような補助線を考える。

DEを伸ばした線とCBを伸ばした線の交わる点をPとすると△ADHと△CPHは相似比2:3の相似形(AH:HC=②:③より)となる。

このときAD=2とするとPC=3

またFは「辺BCを1:3に分ける点」だからPB:BF:FC=1:0.5:1.5。とすると△ADGと△FPGは相似比2:1.5=4:3の相似形とわかる。

よってAG:GF=4:3 

 

⑶ EG:GH:HDを、最も簡単な整数の比で求めなさい。

 

右矢印 小問⑵よりAD:BF=2:0.5。このときEを通るBFに平行な線とAFが交わる点をQとする(補助線EQを引くと相似形が2組できる

 

すると

  • △ABFと△AEQは相似(相似比3:2)だから EQ=⅓(⅔×BFより)
  • △EGQと△DGAも相似(相似比⅓:2=1:6)だから EG:GD1:6…㋐

  • また小問⑴より EH:HD=AH:HC=2:3…㋑

よって㋐と㋑を比合わせすると(㋐の左右の和7と㋑の左右の和5の最小公倍数35に和をそろえて)

 

 EG:GH:HD=5:9:21 完了