回転体の体積⑩ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

回転体の体積問題の第10弾です。

 

  その1(青雲2023)

 

図1の長方形があります。このとき、図2のようにこの長方形を2つ使ってできた図形について考えます。この図形を直線①をじくとして一回転させてできる立体の体積を求めなさい。

 

 

右矢印 1辺1㎝の正方形に分けて考える。

直線①にくっついている正方形1つを回したときの回転体の体積を1とするとそれ以外の正方形の回転体の体積はそれぞれ次のようになる(過去記事「回転体の体積計算を工夫する②」参照)

このとき全体の体積は

 1+3+5×6+7+9=50

そして1は底面の半径1㎝、高さ1㎝の円柱の体積だから

 1×1×3.14×1=3.14㎤

よって全体の体積は 3.14×50=157

 

 

  その2(城南学園中2023)

 

下の図のような1辺が4cmの正方形ABCDがあります。斜線部分を、直線𝓵を軸として1回転させてできる立体の体積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

 

右矢印 上に2つある直角三角形は次のように下に移動させても回転させたときの体積は変わらない。

 

よって求める体積は一番内側の正方形(赤)を回転させたときにできる円柱の12倍(=5+7)だから 

 2×2×3.14×2×12=301.44㎤

 

 

  その3(須磨学園2023)

 

等脚台形ABCDを直線𝒎のまわりに1回転させてできる立体の体積は▢㎤です。ただし、円周率は3.14とし、円すいの体積は、底面積×高さ÷3で求めることができます。

 

右矢印 CDを伸ばした線と𝒎が交わる点をP、DAを伸ばした線と𝒎が交わる点をS、PとSの真ん中の点をQ、PとDの真ん中の点をRとする。

このときQRはSDと平行で長さ3cm、SDはBCと平行で長さ6cmだから

 △PQR、△PSD、△PBCはたがいに相似で相似比は1:2:3

 

とすると三角形PQRを回転させたときの回転体の体積を①とするとき

  • △PSDの回転体の体積⑧より台形QSDRの回転体の体積は⑦(△PSDの回転体の体積⑧より)
  • △PBCの回転体の体積㉗より台形ABCDの回転体の体積は⑱(△PBCの回転体の体積㉗より)

そして①は底面の半径3㎝、高さ4㎝の円すいだからその体積は

 3×3×3.14×4÷3=37.68㎤

よって求める立体の体積⑱は

 37.68×18=678.24㎤

 

 

  その4(夙川中2023第3回)

 

右の図のような、AB=AC=10㎝、AM=8㎝、BC=12㎝、MN=3㎝の三角形ABCがあります。次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とします。

 ※円すいの体積は ×(底面積)×(高さ) で計算します。

⑴  三角形ABCをBCを軸(じく)にして1回転させたときにできる立体の体積を求めなさい。

 

右矢印 底面の半径8㎝、高さ6㎝の円すいが2つあると考えて

 ⅓×8×8×3.14×6×2=803.84㎤

⑵  三角形ABCをHNを軸(じく)にして1回転させたときにできる立体の体積を求めなさい。

 

右矢印 AHを底辺とする直角三角形(これを回してできる円すいの体積を①とする)とBNを底辺とする直角三角形は相似で相似比1:3。

このとき(相似な三角形の辺の比が1:3のとき体積比は1:27より)青の四角形の回転体の体積は㉕(=㉗-②)

そして赤の直角三角形を回してできる円すい(底面の半径3㎝、高さ4㎝)の体積①は

 ⅓×3×3×3.14×4=37.68㎤

よって求める体積㉕は

 37.68×25=942㎤

 

⑶  三角形ABCをAMを軸(じく)にして90°回転させたときにできる立体の表面積を求めなさい。解答欄(かいとうらん)には考え方も書きなさい。

 

右矢印 できあがる立体は円すいをたてに4等分したうちの2つ分。

このうち1つの立体(円すいの¼)について考えると(最後に2倍する)

  1. 底面…6×6×3.14×¼=28.26㎠
  2. 側面の直角三角形…6×8÷2×2=48㎠
  3. 側面のおうぎ形…辺AC(長さ10㎝)が半径3㎝の円周上を90°回転(=¼回転)すると考えて(過去記事「回転体の表面積②(パップス=ギュルダンの定理) 」参照)10×3×2×3.14×¼=47.1㎠

以上を合計すると

 28.26+48+47.1=123.36㎠

 

これを2倍して求める表面積は

 123.36×2=246.72㎠ 完了