少し変わった水そうの問題 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

水そう問題の今年の出題例から少し変わった2問を取り上げます。

 

  会話形式の問題(専修大学松戸2023)

 

次のような問題を見て、MさんがT先生に質問をしています。

問題 図1のような、2つの直方体を組み合わせた形の容器があります。この容器に、はじめは毎分300㎤、途中からは毎分200㎤の割合で水を入れたところ、水を入れ始めてからの時間と容器に入った水の深さの関係を表すグラフが、図2のような直線になりました。容器がいっぱいになったのは、水を入れ始めてから何分後ですか。

Mさん:T先生、この問題は少し変だと思います。
T先生:どこが変だと思いますか?
Mさん:容器の底面積が途中で変化するし、水を入れる割合も途中で変化するので、グラフは折れ線になるはずです。
T先生:たしかに、容器の形によってはそうなるときもありますよね。でも、今回の場合はグラフが一直線になっています。なぜだかわかりますか?
Mさん:わかりました!底面積が変化するときと水を入れる割合が変化するときが同じであれば、グラフが一直線になることもありえますね。
T先生:その通りです。あとは自分の力で解いてみてください。

このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ 容器の下の段の底面積は何㎠ですか。

 

右矢印はじめは毎分300㎤、途中からは毎分200㎤の割合で水を入れた」ことと「底面積が変化するときと水を入れる割合が変化するときが同じ」というMさんの発言から、高さ10㎝までは毎分300㎤、それ以降は毎分200㎤の割合で水を入れた(そのためグラフが一直線になった)とわかる。

とすると高さ10㎝までの底面積と高さ10㎝以上の底面積の比は300:200=③:② 

この差①が赤い部分の底面積だから

 ①=6×15=90㎠

よって下の段の底面積③は 90×3=270㎠

 

⑵ 問題の答えは何分後ですか。

 

右矢印 底面積270㎠のところに「はじめは毎分300㎤…の割合で水を入れた」から、毎分上がっていく水の高さは

 300÷270=¹⁰⁄₉㎝

この水の上がり方が最後まで続いたので

 15÷¹⁰⁄₉=13.5分後

 

 

  周期算との組合せ(玉川聖学院2023)

 

右の図のような水そうに40Lの水が入っています。この水そうにじゃ口Aから給水をはじめ、次のきまり①〜⑥をくり返して排水します。
 

         (きまり)
① 5分間排水しない
② 5分間排水口Bから排水する
③ 5分間排水しない
④ 5分間排水口Cから排水する
⑤ 5分間排水しない
⑥ 5分間排水口Dから排水する


水そうの水が300Lになるまで、給水を続けます。
ただし、給水と排水の割合は、じゃ口A、排水口B、C、Dで一定であり、排水口Bからは毎分2.4L、排水口Cからは毎分3.2L排水されることとします。下のグラフは、このときの水そうの水の量と時間の関係を表したものです。次の問いに答えなさい。

⑴ じゃ口Aからは毎分何L給水されますか。

 

右矢印排水口Bからは毎分2.4L…排水される」がグラフの②のところではグラフが平らになっている。これはじゃ口Aの給水量と排水口Bの排水量が同じということなのでじゃ口Aからの給水は 毎分2.4L

 

⑵ 排水口Dからは毎分何L排水されますか。

 

右矢印 グラフの⑤と⑥のところを見くらべるとちょうど線対称の形になっている。これは⑤が毎分2.4Lの給水をしていることを考えると、⑥では排水口Dが毎分4.8Lの排水をしている(から毎分2.4Lの給水との差である毎分2.4Lが実際に排水されている)ことをあらわす。

よって排水口Dからの排水量は 毎分4.8L

⑶ 水そうの水が300Lになるのは、給水をはじめてから何時間何分何秒後ですか。

 

右矢印 ①~⑥の30分の周期で考えると

  • 30分間の給水は2.4×30=72L
  • 30分間の排水は (2.4+3.2+4.8)×5=52L

だから30分ごとに20Lがたまっていく。

 

はじめに水が40L入っているのであと260L。とすると 260÷20=13 より30分×13=390分=6時間30分後(13回目の周期が終わったところ)でちょうど300Lたまっているのはまちがいない

 
*問題文に「水そうの水がはじめて300Lになるのは…」とは書いてないのでもしかしたら「6時間30分0秒後」(または「6時間20分0秒後」)でも正解とされたのかもしれません。以下「水そうの水がはじめて300Lになるのは…」という意味だと理解して続けます。

しかしグラフをみるともっと早い段階で、30分の周期の途中(③のどこかの時点)で水はいったん20Lに達する(そのあとふえたりへったりして30分後にまた20Lにもどる)ことがわかる。

 

そこではじめて20Lに達するのが30分周期のなかのどの時点かを調べると(②の5分間は増減しないから)①と③で増える毎分2.4Lだけを考えて

 20÷2.4=²⁵⁄₃分=8分20秒

がたったところ。

つまり「①の5分」と「③の3分20秒」があれば20Lたまるから、これに「②の5分」を足して、水がはじめて20Lに達するのは30分周期のうち13分20秒たったところだとわかる

 

よって(6時間30分後にちょうど300Lたまっていることはまちがいないとして)はじめて300Lたまるのは13回目の周期の途中の 6時間13分20秒後 完了