売買損益2023⑤ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

売買損益の2023年出題例の第5弾です。

 

  その1(東京都市大学付属2023帰国)

 

ある店では、コーヒーカップを1個100円で400個仕入れました。しかし、仕入れた個数の1割が割れてしまい、売ることができなくなりました。残りのコーヒーカップをすべて売り、全体の1割以上の利益が出るようにするには、1個の定価を▢円以上で売ればよいことになります。ただし、消費税は考えないものとして、定価は整数で答えなさい。

 

右矢印コーヒーカップを1個100円で400個仕入れ」ると仕入金額は100×400=40000円

 

全体の1割以上の利益が出るようにする」ことを考えると

  1. 利益がちょうど1割になるところをまずさがすと(40000×1.1=)44000円の売上になるところ
  2. 仕入れた個数の1割が割れて」しまったから売れる商品は360個(=400×0.9)
  3. とすると1個あたりの売値を考えると 44000÷360=122.2…円で売れば利益はちょうど1割になる
よって「定価は整数で」考えるとき「1割以上の利益が出るようにする」ための1個の定価▢は123円

 

 

  その2(横浜共立2023)

 

ある品物を700個仕入れ、仕入れ値の2割の利益を見込んで定価をつけて売りました。ところが何個か売れ残ったので、定価の2割引きにして残りを売ったところ、全部売ることができました。このときの売り上げ金額の合計は、700個すべてを定価で売ったときの95%にあたります。2割引きで売った個数は▢個です。

 

右矢印 利益の話は出てこないので「仕入れ値の2割の利益を見込んで」のところは無視できる。

 

そこで定価を1とする。仕入れた個数も1とするとすべて定価で売ったときの売上は1(=1×1)。

 

だが実際には「定価の2割引き」で売った分がありこの売値は⅘(=1×0.8)。とするとつるかめ算を使う損益算だから面積図で考えると

実際の「売り上げ金額の合計は、700個すべてを定価で売ったときの95%」だから95%=¹⁹⁄₂₀が全体の面積となり(1-¹⁹⁄₂₀=)¹⁄₂₀が割引きしたところの面積となる。

 

よって2割引きにして売った個数の割合▢は ⅕×□=¹⁄₂₀ より ▢=¼ とわかるから2割引きで売ったのは

 700×¼=175個

 

 

  その3(立教新座2023)

 

ある工場で製品を1000個作りました。製品を作るのに1個あたり120円の費用がかかります。この製品に費用の25%の利益を見込んだ定価をつけました。この製品を定価で売り始めましたが、売れ残りそうだったので途中から定価の1割引きで売りました。その結果、製品1000個はすべて売り切れ、売り上げは148200円でした。次の問いに答えなさい。
⑴ 定価で売った製品は何個ですか。

 

右矢印 定価で売った製品を▢個とする。

  1. 費用の25%の利益を見込んだ定価」だから定価は120×1.25=150円。これで▢個売ると定価での売上は…①
  2. 途中から定価の1割引きで」売った。このとき売値は150×0.9=135円。これで(1000-□)個売ると1割引きでの売上は 135000-…②
  3. 売り上げは148200円」だったので ①+②=148200 より +135000-=148200 だから =13200

 よって ▢=13200÷15=880個

 

売り切った製品1000個のうち、不良品の申し出が8個分ありました。その8個分の不良品に対して買うときに支払われた代金を返金した結果、利益は27045円になりました。
⑵ 不良品の申し出があった8個分のうち、定価で売った製品は何個ですか。

 

右矢印 不良品がなかったとしたときの費用と売上は次の通り。

  1. これでいくと 148200-120000=28200円の利益となる予定だった
  2. 実際は「利益は27045円」だったのでここから 28200-27045=1155円を返金したことがわかる
  3. とすると「不良品の申し出が8個分」あってその合計1155円だからつるかめ算で考えると 150×5+135×3=1155 という返金の中身だったことがわかる

よって不良品8個のうち 5個を定価で売った 

 

さらに不良品の申し出が何個分かありました。その申し出があったすべての不良品に対して買うときに支払われた代金を返金した結果、利益は25755円になり、それからは不良品の申し出はありませんでした。
⑶ 売り切った製品1000個のうち、不良品の申し出があったのは全部で何個分ですか。

 

右矢印 追加で不良品の申し出がなかったとしたときの費用と売上は次の通り。

こうして「利益は27045円」となる予定だったが実際には追加で返金したので「利益は25755円」となった。

とすると 27045-25755=1290円を追加で返金したことがわかる 。

 

この返金の中身を考える。

定価(150円)でAコ分、割引価格(135円)でBコ分を返金したとすると

 150×A+135×B=1290 より

 10×A+9×B=86

これをみたす整数(A, B)の組は(5, 4)だけ(10×Aの一の位は0だから9×Bの一の位は6。そしてかけ算の9の段で一の位が6になるのは9×4=36だけ)だから追加で不良品の申し出があったのは9コ分(=5+4)

 

よって不良品の申し出があったのはぜんぶで

 8+9=17個分 完了