以前の記事の続きです。
売買損益の出題例の第6弾です。
その1(法政2023)
原価が1個320円の品物があります。この品物を定価の5%引きで20個売るときの利益と、定価の10%引きで30個売るときの利益は等しくなります。この品物の定価は、1個□円です。
定価を100円とする。
「利益=売上-仕入」より
- 「定価の5%引きで20個売るとき」…仕入は原価×個数だから 320×20=6400円。売上は 95×20=1900円→利益は(1900-6400)円
- 「定価の10%引きで30個売るとき」…仕入は 320×30=9600円、売上は 90×30=2700円→利益は(2700-9600)円
その2(香川誠陵2023)
ある商品を1個につき600円で仕入れ、仕入れ値の35%増しの定価をつけて売り出しました。仕入れた個数の75%にあたる商品が売れたところで売り上げを調べると、145800円でした。その後、残りの商品を定価の2割引きで売ったところ、すべて売り切れました。次の問いに答えなさい。
⑴ この商品の定価は何円ですか。
「1個につき600円で仕入れ」た商品に「仕入れ値の35%増しの定価」をつけたから定価は
600×(1+0.35)=810円
⑵ 仕入れた商品の個数は全部で何個ですか。
「仕入れた個数の75%にあたる商品が売れたところで売り上げを調べると、145800円」だったから仕入れた商品の全部が売れたときの売上は
145800÷0.75=194400円
よって定価810円だから
194400÷810=240個
⑶ 利益は全部で何円になりましたか。
売上について考えると
- 売上①…仕入れた個数240個のうち75%を定価で売った→売値は定価810円、売った個数は240×0.75=180個だから 810×180=145800円
- 売上②…残りを「定価の2割引き」で売った→売値は810×(1-0.2)=648円、売った個数は 240-180=60個だから 648×60=38880円
- 仕入…「1個につき600円」で240個(小問⑵)仕入れたので600×240=144000円
よって「利益=売上-仕入」より利益は全部で
145800+38880-144400=40680円
その3(埼玉栄2022第3回)
あるからあげ屋では、1パック500円でからあげを売っています。このからあげ屋では、閉店2時間前から割引をして売っています。割引の種類は2割引と半額があります。2割引で売ったときは1時間に20パック、半額で売ったときは1時間に40パック売れます。ただし、パックの残りの数以上に売ることはできません。この2時間で売れた金額の合計を『特別売上』と名前を付けます。また、からあげ1パック作るのに原価50円かかります。売れ残った場合は、売れ残りの原価分が損失となります。『特別売上』から原価と損失を引いた金額を『特別利益』と名前を付けます。
① 残り70パックのとき、2時間半額の割引きを行いました。『特別利益』はいくらになりますか。
「2時間半額の割引き」を行うと「半額で売ったときは1時間に40パック」が売れるから2時間で80パックまで売れる。
- したがって「残り70パックのとき」半額の割引きを2時間行うと70パック全部が売れることとなる。
- このときの『特別売上』は「1パック500円」の半額250円でからあげ70パックを売ったから 250×70=17500円
よって1パックあたりの「原価50円」(損失は0)だから『特別利益』は
『特別売上』-(原価+損失)
=17500-(50×70+0)=14000円
② 閉店2時間前の時点で、パックが60個以上ありました。最初の1時間は2割引き、次の1時間は半額の割引きを行いました。『特別売上』と『特別利益』の差が4800円でした。閉店2時間前の時点でのパック数はいくつありましたか。
「『特別売上』から原価と損失を引いた金額を『特別利益』と」名前を付けたのだから問題文にある「『特別売上』と『特別利益』の差」とはつまり原価と損失のこと。
そして「売れ残った場合は、売れ残りの原価分が損失」となるから原価と損失は売れたときと売れ残ったときで名前が変わるだけで中身は同じものとわかる。
よって原価と損失で4800円だったということは(仕入れたパック数のぜんぶに「原価50円」がかかっているから)閉店2時間前の時点でのパック数は
4800÷50=96個
その4(明治大学付属明治2023)
A商店では仕入れ値が1個900円の品物を100個仕入れ、仕入れ値の何%かの利益を見込んで定価をつけて売ったところ、いくつか売れ残ってしまいました。そこで、売れ残った商品を定価の20%引きにして売りましたが、2個売れ残ってしまいました。その結果、利益は見込んでいた利益の78.4%にあたる24696円でした。このとき、次の各問いに答えなさい。ただし、消費税は考えないものとします。
⑴ 定価は仕入れ値の何%の利益を見込んでつけましたか。
- 「仕入れ値が1個900円の品物を100個仕入れ」たから仕入は90000円(=900×100)
- 実際に得た「利益は…24696円」だったがこれは「見込んでいた利益の78.4%」だから見込んでいた利益は31500円(=24696÷0.784)
よって(31500÷90000=0.35より)見込んでいた利益は仕入れ値の35%とわかり、定価は仕入れ値の 35% の利益を見込んでつけられた
⑵ 定価の20%引きにして売った商品は何個でしたか。
- 仕入が90000円、利益が24696円だから「売上=仕入+利益」より、売上は114696円(=90000+24696)
- 仕入れ値900円に35%の利益を見込んでつけた定価は1215円(=900×(1+0.35))。また「定価の20%引き」の売値は972円 (=1215×(1-0.2))
- 「100個仕入れ」たうち「2個売れ残って」しまったので実際に売れたのは98コ。これをつるかめ算で考えると 1215円×80+972円×18=114696円 という売上の中身だったとわかる
よって定価の20%引きで売ったのは 18個
⑶ B商店では仕入れ値が1個900円の同じ品物を100個仕入れ、A商店と同じ定価をつけて売ったところ、46個売れ残ったので、定価の40%引きにして売ることにしました。B商店が損をしないためには、40%引きの商品を何個以上売ればよいですか。
- 「100個仕入れ」た品物を定価1215円で売ったら「46個売れ残った」から定価で売れたのは100-46=54コ→定価での売上は1215×54=65610円
- 定価の40%引きの売値は729円(=1215×(1-0.4))。損をしないためには売上が仕入90000円以上あればよいからあと24390円(=90000-65610)以上の売上になればよい。
そこで売上がちょうど24390円になる個数▢を調べると
▢=24390÷729=33.4…
よって 34個以上