以前の記事の続きです。
覆面算の考え方を典型的な覆面算だけで使うのはもったいない話。整数問題でも覆面算の形にしてみるとヒントが見えてくるという問題もいろいろあります。
そんな応用例を含めて今年の入試問題から3問を取り上げます。
覆面算の典型例(宮崎日大2023)
右の計算を完成させたとき、ア、イ、ウ、エ、オにあてはまる数を求めなさい。
「エウア」の段を第1段、「イ2」の段を第2段、…、「42□9□」の段を第5段とする。
第3段の一の位6に注目する。これはア×2の結果なのでその一の位が6となるのは3×2=6か8×2=16のときだけ。そして3と8のうち第4段の一の位1をつくれるのは3だけ(3×7=21だけ)なので ア=3、イ=7に決まる。
同じように考えていくと
- 第4段「51」より(9×7=63となる)ウ=9に決まる
- 第5段「42」より第1段は(5×7=35となる)エ=5(第3段の千の位は1しかないからエ=6だと43以上になってしまう)
- 第4段は(35+6=41となり)オ=4
よってア=3、イ=7、ウ=9、エ=5、オ=4
覆面算の応用例①(東京農大一中2023)
4けたの整数の中で、9倍すると、もとの整数の数字の並び方と順番が逆になるような整数を求めなさい。
4けたの整数をABCDとする。
このあと文字式で解こうとすると
(1000×A+100×B+10×C+D)×9=1000×D+…
とたぶん泥沼化してしまうところ、覆面算の形にするといろいろヒントが見えてきます。
4けたの数を×9しても4けた(くり上がりがない)ということで千の位に注目するといきなりA=1、D=9に決まる
百の位に注目すると、B×9でもくり上がりがないからBは0か1
場合分けして考えると
- B=0のとき…C×9の一の位は2となることが必要(9×9=81の十の位8と足すから)でこれをみたすのはC=8だけ
- B=1のとき…C×9の一の位は3となることが必要でこれをみたすCは7だけ。だがこのとき1179×9は5ケタになってしまい条件に合わない
よって A=1、B=0、C=8、D=9に決まり、求める整数は1089
覆面算の応用例②(灘2023)
1桁の数A、2桁の数BC、3桁の数DEFと3桁の数ABC、2桁の数DE、1桁の数Fについて、A+BC+DEF=ABC+DE+Fが成り立っています。このとき、次のアからソのうち、必ず成り立つものは3つあります。それは[①]と[②]と[③]です。ただし、①、②、③の順序は問いません。
ア A=B イ A=C ウ A=D
ェ A=E オ A=F 力 B=C
キ B=D ク B=E ケ B=F
コ C=D サ C=E シ C=F
ス D=E セ D=F ソ E=F
覆面算の形にして左右に並べてみる。
すると同じ一の位にCとFがあるから両方とも消せるのがわかる。同じく十の位にあるBも消せる。
残った文字だけで(ケタをくずさないで)3ケタの数にすると
2つを見くらべて3ケタの数DEA=ADE より D=A=Eとわかるから、必ず成り立つものは
①ウ(A=D)、②エ(A=E)、③ス(D=E)