ニュートン算2023⑤ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きになります。

 

今年出題されたニュートン算の入試問題の第5弾です。

 

あるサッカースタジアムには手荷物検査の窓口が5か所あり、そのうちのいくつかをあけてそれぞれ2分で1人ずつの検査を完了させてスタジアム内に観客を入場させることができます。また、窓口の前には11分ごとに[ア]人を乗せたバスが到着して検査待ちの列に全員並びます。ある日、午後2時の手荷物検査開始時に、この瞬間に到着したバスから降りた観客を含めて100人が列に並んでいましたが、5か所の窓口のうち[イ]か所をあけて対応したところ、検査待ちの人や検査中の人がはじめていなくなったのが午後3時14分でした。
このとき、[ア]、[イ]にあてはまる整数の組を、([ア],[イ]) のかたちですべて答えなさい。(聖光学院2023)

 

 

前回取り上げた問題その3と似ていますが、いつものニュートン算だと考えて解こうとしてもうまく解けないはず。こちらはニュートン算というより条件整理の力をみる問題と言えそうです。

右矢印 バスは「11分ごとに」到着する。最初のバスは「午後2時」に到着したから、列がなくなる「午後3時14分」までにあと6回(2:11、2:22、2:33、2:44、2:55、3:06)到着するのがわかる。

 

とすると最後のバスが3:06に到着したあとの(3:06~3:14の)最後の8分間は人はへっていくだけなので、ここを手がかりに考えていく。

ポイントは3:06時点であと何人残っているかという点で、これは窓口の数で変わるので場合分けをして考えていく。

❶窓口1つのとき

窓口1つで2分で1人」が入場できるから最後の8分間(3:06~3:14)で入場できるのは4人。また最初の66分間(2:00~3:06)で入場したのは1×66÷2=33人

→これだと最初にいた100人の列でさえなくならず条件に合わない

❷窓口2つのとき

2分で2人が入場できるから最後の8分間で入場できるのは8人。また最初の66分間で入場したのは2×66÷2=66人

→これも最初にいた100人の列でさえなくならず条件に合わない

❸窓口3つのとき

  1. 2分で3人が入場できるから最後の8分間で入場できるのは12人まで。ただし1人の検査に2分かかるから(残り9人だと3:12に終わってしまうが)残り10人のときと11人のときも人がはじめていなくなったのが午後3時14分」となる
  2. また最初の66分間で入場したのは3×66÷2=99人だから、全体の入場者数は109人、110人、111人のどれか。だがここから最初にいた100人を引くと、6回のバスで到着したのが9人、10人、11人(どれも6の倍数ではない)となってしまい条件に合うものはない

❹窓口4つのとき

  1. 2分で4人が入場できるから最後の8分間で入場できるのは16人。ただし上と同じ理由で残り13人、14人、15人のときも検査完了は同じく3:14になる
  2. また最初の66分間で入場したのは4×66÷2=132人だから、全体の入場者数は145人、146人、147人、148人のどれか。ここから最初にいた100人を引くと45人、46人、47人、48人。このうち48人だけが6の倍数で、バス1回に8人が乗ったときのちょうど6回分となっており条件に合う

❺窓口5つのとき

  1. 2分で5人が入場できるから最後の8分間で入場できるのは20人。ただし上と同じ理由で残り16人、17人、18人、19人のときも検査完了は同じく3:14になる
  2. また最初の66分間で入場したのは5×66÷2=165人だから、全体の入場者数は181人、182人、183人、184人、185人のどれか。ここから最初にいた100人を引くと81人、82人、83人、84人、85人。このうち84人だけが6の倍数で、バス1回に14人が乗ったときのちょうど6回分となっており条件に合う

よって (ア, イ) = (8, 4) か (14, 5)(=8人を乗せたバスに窓口4か所で対応したか、14人を乗せたバスに窓口5か所で対応した)完了