枡タワー | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事に関連する話です。

 

枡タワーというものがあります。祝い事でお酒をふるまうときに枡をピラミッド型に積み重ね、日本酒を上から流してまとめて酒を注ぐという演出です。

小学生とは縁遠い話ですが、中学入試ではときどき題材にされることがあります。たとえば今年出題のこちらの問題。

 

図は容積1Lのますを組み合わせたものです。①のますに毎分1Lずつ水を注ぎ、①のますからあふれた水は同じ量ずつ②と③へ流れこみます。
②からあふれた水は同じ量ずつ④と⑤へ、③からあふれた水は同じ量ずつ⑤と⑥へ流れていきます。
④、⑤、⑥からあふれた水はそれぞれ⑦と⑧、⑧と⑨、⑨と⑩へ流れていき、⑦、⑧、⑨、⑩からあふれた水はお盆へと流れます。水は矢印以外の方向には流れないものとします。(雲雀丘2023)

⑴ ⑤に水が入り始めるのは①に水を注ぎ始めてから何分後ですか。

 

 

右矢印 ①②③があふれたあとはじめて⑤に水が入り始める。

容積1Lのます」に①のうえから「毎分1Lずつ」水を注ぐから、①②③のます3個をみたすのに3分かかるので 3分後

 

⑵ ⑧に水が入り始めるのは①に水を注ぎ始めてから何分後ですか。

 

右差し 小問⑴のように『①~⑥のます6個があふれたあとはじめて⑧に水が入り始める』とはならないことに注意が必要です。

 

右矢印 どのますに毎分どれだけの水が行くか、とりあえずいちばん左のますに注目して(④⑤⑥など同じ段のますは同じ結果になるはずなので)情報を書いてみるとこのようになる。

 

ここで⑤に注目すると、4分後に②③から¼ずつ集まり、5分後にさらに¼ずつ集まっていっぱいになる。このように5分たった直後(6分に入る直前)に⑧⑨に入り始めるのがわかる。

よって⑧に水が入り始めるのは 5分後

 

⑶ ①から⑩の全部のますがいっぱいになるのは①に水を注ぎ始めてから何分後ですか。

 

右矢印 ここまででわかるのは同じ段のますなら真ん中からいっぱいになっていき最後に両はしがいっぱいになるということ。

そこでいちばん左のます④に注目する。

 

 

ます②から④へは毎分¼Lずつ水が流れ出すから、下の図にあるとおり、ます④は4分後に¼、5分後に²⁄₄、6分後に¾と水が¼ずつたまっていき、7分後に④はいっぱいになる

つまり④がいっぱいになるのは④に水が入り始めてから4分後(¼×4=1)ということ。

 

同じように考えて、ます④から⑦へは毎分⅛Lずつ流れ出すから、⑦がいっぱいになるのは⑦に水が入り始めてから8分後(⅛×8=1)

よって 7分+8分=15分後 完了

 

 

なお、実際にこれと似たような結果になること(さらにはこぼれまくること)は、たとえばYouTuberヒカキンがシャンパンタワーとコーラを使って実験してくれています。