学習指導要領の直近の改訂(小学校では2020年度から全面実施)に伴い、「データの活用」の一部が中学数学から算数に移行されました。多くの中学受験用教材はまだこれに追いついていない(これを正面から取り上げたものはまだない)ように思いますが、塾では習わなくても中学入試ではもちろん出題されます。
今年の出題例としてたとえば次のようなものがあり、このレベルの問題を解けるぐらいの最低知識は習得しておきたいところです。
中央値と最頻値(愛知淑徳中2023)
下のグラフは、ある30人のクラスで行った10点満点の算数のテストの得点と人数を表したものです。次の①〜⑤の中で、グラフから読みとれることとして正しいものをすべて選びなさい。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230312/02/jukensansuwa/5b/19/p/o2110102815254222875.png?caw=800)
①30人の得点の最小値は0点である。
②4点の生徒は上位から24番目である。
③30人の得点の中央値は6点である。
④30人の得点の平均値は5点以上である。
⑤30人の得点の最頻値(さいひんち)は10点である。
グラフをもとに①~⑤を順に見ていくと
- ①「最小値は0点」ではなく1点→×
- ②「4点の生徒」を下から数えると、1点が3人、2点が1人、3点が2人いるから下から7番目。ぜんぶで30人いるからこれは上から24番目→○
- ③「中央値」(資料の値を大きさの順に並べたとき真ん中にくる値。データの数が偶数のときは中央の2つの値の平均値となる)について、ぜんぶで30人だから下から15番目と16番目の平均値を求めると、下から15番目が6点、16番目が7点だから中央値は6.5点→×
- ④「平均値」は(中央値や最頻値と違って)グラフから直接読み取ることはできないので計算するしかない。30人の得点を合計すると180点(=1点×3+2点×1+3点×2+4点×1+5点×5+6点×3+7点×6+8点×4+9点×2+10点×3)なので平均点は6点ちょうど→○
- ⑤「最頻値」(資料の中で最も多く出てくる値)はグラフから明らかに7点→×
よって正しいものは②と④
中央値と平均値(世田谷学園2023)
5点満点の算数のテストを10名の生徒が受けた結果の点数は次の通りです。
4、2、5、4、1、4、3、0、5、3
中央値の方が平均値よりも▢点高いです。
点数を小さい順に並べかえると
0、1、2、3、3、4、4、4、5、5
- 中央値は(偶数個なのでちょうど真ん中はないから)左から5番目の3と6番目の4の平均で3.5
- 平均値は(0+1+2+3+3+4+4+4+5+5)÷10=3.1
よって▢=0.4点
中央値(頌栄女子2023)
下の表は、あるクラスの算数の成績を5段階でつけた結果です。中央値が4のとき、成績に3がついた人は最大で何人か求めなさい。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230307/07/jukensansuwa/d1/a5/p/o1551045415252115258.png?caw=800)
成績4と5で合計14人いることに注目すると
- 成績1~3が同じ14人の場合、中央値は(ちょうど真ん中はないから)3と4の平均値3.5となり条件にあわない。またこれが15人以上でも(真ん中はもっと小さい方向に)動くからやはり条件にあわない
- 成績1~3が13人の場合、ぜんぶで27人だから中央値は(上から数えても下から数えても14番目の)4となる。またこれが12人以下でも真ん中はもっと右に(大きい方向に)動くからやはり条件にあう。
よって最大となるのは成績1~3が13人のとき。このとき、成績1と2の5人を引いて、成績3は8人