以前の記事の続きです。
今年の入試問題から、三角形の面積を題材とする問題でいろいろ応用がききそうなもの4題を今回取り上げます。
その1(浦和明の星2023)
右の図は、直角三角形ABCの辺ABが辺BCに重なるように折ったものです。このとき、斜線部分の面積を求めなさい。
次のように、折り返し線と辺ACとが重なる点をP、折り返したときにAが辺BCと重なる点をA’とする。
このときA’は(AB=3㎝なので)BCを3:1に分ける点になっている。となると辺の比と面積比の関係より
△PBA’:△PA’C=3:1
また△PBAの面積も同じく3だから、色のついた部分の面積は△ABCの⅐
ここで△ABCの面積は4×3÷2=6㎠なので、色のついた部分の面積は
6×⅐=⁶⁄₇㎠
その2(駒場東邦2023)
図のように、1辺の長さが1cmの正方形を6個並べ、3点A、B、Cをとります。AとB、BとCをそれぞれ結び、それぞれ3等分した点をとり、結びます。ここで、ABを3等分した点のうち、Bに近いほうをDとします。
① 三角形BCDの面積を求めなさい。
AとCの間に補助線を引いて三角形ABC(下図の青)をつくると、△BCD(下図の赤)の面積は△ABCの面積の⅓(辺の比と面積比の関係より)
ここで△ABCの面積は全体の長方形からまわりの3つの直角三角形を引くことで求められるから、
△ABC=3×2-2×1÷2×2-3×1÷2=2.5
よって三角形BCDの面積は △ABC×⅓=⅚㎠
② 斜線部分の面積を求めなさい。
DからACと平行に補助線を引き、これがBCと交わる点をPとする。
DP=2とするとAC=6となり、この2つにはさまれた辺の長さは次のように1、2、1となる(三角形の相似より)
ここから斜線部分は黄色の三角形と合同だとわかるから、黄色の三角形の面積を求めればよい。
そこで△DBPに注目する。黄色の三角形は、底辺は△DBPと共通で、高さは△DBPの½だから、面積も△DBPの½。
そして△DBPは△DBCの⅓(辺の比と面積比の関係より)なので斜線部分の面積は
△DBC×⅓×½=⅚×⅙=⁵⁄₃₆㎠
その3(須磨学園2023第2回)
A地点から、東へ3m、南へ5m進んだ所をB地点とします。B地点から、西へ6m、南へ4m進んだ所をC地点とするとき、A、B、C地点を線で結んでできる三角形の面積は[ ]㎡です。
簡単に図を書いてみる。
全体の四角形から直角三角形3つを引く形で求める。
❶全体の四角形…南北方向をタテ、東西方向を横と考えると タテ9m×横6m=54㎡
❷左側(西側)の三角形…9m×3m÷2=13.5㎡
❸右上(北東)の三角形…5m×3m÷2=7.5㎡
❹右下(南東)の三角形…4m×6m÷2=12㎡
よって
❶-❷-❸-❹=54-13.5-7.5-12=21㎡
その4(四天王寺2023)
下の図のような面積が30㎠の正方形ABCDがあります。E、Fはそれぞれ辺AB、ADのちょうどまん中の点です。また、BFとDEの交わった点をG、BFとCEの交わった点をHとします。
① BG: GFを求めなさい。
相似な三角形をつくるため、AEと平行な補助線FPを引く。
AE=EB=➁とすると、△AEDと△FPDの相似(相似比2:1)より FP=①
よって、EB:FP=➁:①となっているから、△EBGと△PFGも相似比2:1の相似形とわかり BG:GF=2:1
② BH : HFを求めなさい。
補助線FPをQまで伸ばす。
前の小問で使ったAE=EB=➁をここでも使うとDC=④。FQはAEとDCのちょうど半分の長さなので③
よって、EB:FQ=➁:③より△EBHと△FQHは相似比2:3の相似形となっているのがわかり、BH:HF=2:3
③ 三角形CGHの面積を求めなさい。
BG:GF=2:1(小問⑴)とBH:HF=2:3(小問⑵)を比合わせすると
BH:HG:GF=6:4:5
よって辺の比と面積比の関係より
△CGH=△FBC×⁴⁄₁₅
ここで△FBCは四角形ABCDの面積のちょうど半分だから15㎠。
よって △CGH=15㎠×⁴⁄₁₅=4㎠