以前の記事に関連する話です。
でこぼこした立体の表面積を求める問題では(よく知られた解法なのですでに使っている小学生も多いと思いますが)❶前後から見たときの面積、❷左右から見たときの面積、❸上下から見たときの面積をそれぞれ求めてこれを合計するという方法をとるとうまく行くことが多いです。
ただ、それだけだとときに困ってしまうことがあるというのが今回の話です。
たとえば次の問題。
表面積を求める①(昭和女子大附属2021B)
次の図は高さが1cm、3cm、6cm、9cmの直方体を10cm四方にすき間なく組み合わせた立体です。この立体の体積と表面積を求めなさい。
受験者正答率は体積が68.1%、表面積が20.1%(学校発表)。表面積をバラバラに計算しようとすると大変なことになります。
体積…6×6×9+4×6×6+4×4×3+6×4×1=324+144+48+24=540㎤
表面積…❶❷❸の合計で488㎠
❶前後…(9×6+6×4)×2=156㎠
❷左右…(3×4+9×6)×2=132㎠
❸上下…10×10×2=200㎠
表面積をもとに体積を求める(東洋英和2022)
下図のような直方体を組み合わせた立体があり、表面積は1644㎠です。この立体の体積を求めなさい。
同じ方法で表面積の式をつくると(前から見たときの面積を□㎠とする)
❶前後…□㎠×2
❷左右…15×18×2=540㎠
❸上下…18×20×2=720㎠
「表面積は1644㎠」と分かっているから、□×2+540+720=1644 より □=192㎠
よって求める体積は 192×18=3456㎤
…とここまでは難なく対応できます。問題は次のような立体です。
表面積を求める②(昭和女子大附属2022B)
1辺の長さが1cm、2cm、3cm、4cm、5cmである5つの立方体を机の上に並べ新しい立体を作りました。下の図はその立体を真上から見た図です。新しい立体の体積と表面積を求めなさい。
最初の問題と違うのは、真ん中の部分が前後左右からかくれている点。ここがきれいな形だったらあとから足せば済む話ですが、本問のようにここもでこぼこしていると途中で混乱したり計算ミスしたりしてしまう可能性が高くなります。こういうときのためにもう一つの解き方として重なっている面の面積をあとから引く方法も引き出しにあると正答率が上がることが期待できます。
体積…5×5×5+4×4×4+3×3×3+2×2×2+1×1×1=125+64+27+8+1=225㎤
表面積… ❶まず「5つの立方体」の表面積の和(重なりを考えない)は(5×5+4×4+3×3+2×2+1×1)×6面=330㎠
ここで下のように番号をつけて重なりを考えていくと
❷5⃣と4⃣の重なり…4×4×2面=32㎠
❸4⃣と3⃣の重なり…3×3×2面=18㎠
❹3⃣と2⃣の重なり…2×2×2面=8㎠
❺2⃣と5⃣の重なり…2×1×2面=4㎠
❻1⃣と2⃣3⃣4⃣5⃣の重なり…1×1×4コ×2面=8㎠
となっているのがわかる。
よって
❶-(❷+❸+❹+❺+❻)=330-(32+18+8+4+8)=260㎠