以前の記事の続きです。
隣辺比(りんぺんひ)は平面図形だけでなく、立体図形で活躍する場面もあります。
たとえばこちらの問題。
立体図形の隣辺比①(大妻2021帰国)
右の図の三角柱ABC-DEFで、2点G、Hは辺DEを3等分する点で、Iは辺EFを2等分する点です。このとき、三角柱ABC-DEFと三角すいBHEIの体積の比を、最も簡単な整数の比で求めなさい。
「三角すいBHEIの体積」を△HEIを底面積とみて考える。
△DEFの面積を1とすると、隣辺比と面積比の関係より、
△DEF=⅓×½=⅙
高さは同じBEなので1倍。
よって、三角柱ABC-DEFの体積を1とすると、三角すいBHEIの体積は
⅙×1×⅓=¹⁄₁₈
となるから「三角柱ABC-DEFと三角すいBHEIの体積の比」は18:1
立体図形の相似比と隣辺比②(明治大学付属明治2016)
右の図のような、すべての辺の長さが12㎝の三角すいABCDがあります。辺ABの真ん中の点をE、辺ACを2:1に分ける点をF、辺CDを1:3に分ける点をGとします。この三角すいABCDを3点E、F、Gを通る平面で切ったとき、辺BDと平面が交わる点をHとします。このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ DHの長さは何cmですか。
面ABC上の三角形の相似と面BCD上の三角形の相似を考える。
- △ABCのある平面上にEを対称の中心としてFに対応する点Pをとる。このとき△AEFと△EBPは合同なのでPB=8㎝
- つぎにP、E、Fの延長線とBCの延長線とが交わる点Qをとる。このとき△PQBと△FQCは相似で相似比は2:1なのでQC=12㎝
- また(このとき一直線上にある)Q、G、Hの延長線上にFGとPRが平行になるような点Rをとる。このとき△BQRと△CQGは相似で相似比は2:1なのでBR=6㎝
ここまでを図にすると上のようになる。ここでGD=9㎝より、△DGHと△BRH(黒の三角形2つ)は相似で相似比は9:6=3:2となっているから、DH:BHも3:2。
よって DH=BH×⅗=12×⅗=7.2㎝
⑵ 5つの点F、C、G、H、Bを頂点とする四角すいの体積と、三角すいABCDの体積の比を、もっとも簡単な整数の比で表しなさい。ただし、四角すい、三角すいの体積は、(底面積)×(高さ)÷3で求められます。
四角すいFCGHBの体積を求めるにあたり、四角形CGHBを底面積として考える。
ここで隣辺比と面積比の関係より、
△DBC:△DHG=5×4:3×3=20:9
なので、△BCDの面積を1とすると△DHG=⁹⁄₂₀ となるから 四角形CGHB=¹¹⁄₂₀。つまり底面積は三角すいABCDの底面積の¹¹⁄₂₀
一方、AF:FC=2:1より、高さは三角すいABCDの高さの⅓
よって、四角すいFCGHBの体積は三角すいABCDの¹¹⁄₆₀(=¹¹⁄₂₀×⅓)なので、求める体積の比は11:60