隣辺比(りんぺんひ)③ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

隣辺比(りんぺんひ)は相似比よりも出題頻度が低いため、どうしても忘れがちになってしまうところです。次のような問題を見たら「隣辺比」を反射的に引き出せるようにしておきたいものです。

 

 

  隣辺比と面積(国府台2020推薦)

 

下の図の三角形ABCは、AB=ACの二等辺三角形です。三角形EMGの面積が8㎠のとき、三角形ABCの面積は▢㎠です。ただし、同じ印がついた線分の長さは等しいとします。

 

右差し どうしても「8㎠」という情報に引きずられてまっ先にこれを使いたくなりますが(そのためか受験生正答率も20%以下だった(学校発表))これは最後に使います。

 

右矢印 △ABCの面積を1とすると、隣辺比と面積比の関係より、

 △AEG=⅔×⅔=⁴⁄₉  △BME=△CGM=½×⅓=⅙

よって △EMG=1-(⁴⁄₉+⅙+⅙)=²⁄₉。

これが8㎠なので △ABC=8㎠÷²⁄₉=36㎠

 

 

  隣辺比と「辺の比と面積比」(東邦大付東邦中2021)

 

下の図において、三角形ABCと三角形BDEの面積は等しく、AE=2㎝、EB=3㎝、BC=4㎝です。また、辺ACと辺DEの交わる点をPとします。このとき、次の問いに答えなさい。

⑴ CDの長さを求めなさい。

 

右矢印 隣辺比と面積比の関係よりAB×BC=BE×BDなので

 5×4=3×BD  BD=²⁰⁄₃㎝

よって CD=BD-BC=²⁰⁄₃-4=⁸⁄₃㎝

 

⑵ AP:PCの比を最も簡単な整数の比で求めなさい。

 

右矢印 補助線BPを引く。△AEP=②とすると△EBP=③(辺の比と面積比の関係より)

また△ABC=△BDEより、共通する四角形EBCPを引いても面積は等しい(過去記事「つけたし」参照)ので△PCD=△AEP=②

さらに辺の比と面積比の関係より、

 BC:CD=4:⁸⁄₃=△PBC:② 

内項の積=外項の積より △PBC=⑧÷⁸⁄₃=③

あとは△APB=⑤、△PCB=③となっているから、辺の比と面積比の関係より

 AP:PC=5:3

 

 

  相似比と隣辺比(明治大学付属明治2021)

 

右の図のように、平行四辺形ABCDがあります。

4点E、F、G、Hはそれぞれ辺AB、BC、CD、DA上にあり、AEの長さは4㎝、BFの長さは6㎝、CGの長さは10㎝、DHの長さは2㎝です。また、EFとGHは平行で、ACとFGは点Iで交わっています。三角形EBFと三角形ABCの面積の比が27:65のとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ DGの長さは何㎝ですか。

 

右矢印 「EFとGHは平行」だから、△EBFと△GDHは相似(3つの角が同じ)。その相似比はBF:DH=3:1なので、BE=③、DG=①とおける。この差②が6㎝(=CG-AE)だから ①=3㎝。

よって DG=3㎝

 

⑵ CFの長さは何㎝ですか。 

 

右矢印 「三角形EBFと三角形ABCの面積の比が27:65」と辺の比と面積比の関係より

 △EBF:△ABC=(9×6):(13×BC)=27:65

内項の積=外項の積より 13×27×BC=54×65  BC=10㎝

よって CF=4㎝

 

⑶ 平行四辺形ABCDの面積は三角形IFCの面積の何倍ですか。

 

右矢印 いったん逆にして「△IFCの面積は平行四辺形ABCDの面積の何倍か」を考える。

 

❶△IFCの底辺(4㎝)は平行四辺形ABCDの底辺(10㎝)の²⁄₅倍

 

❷あとは高さが何倍になっているかわかればよい。それにはCI:AIの比を利用する

CI:AIの求め方にはお決まりのステップがあり、FGの延長線とADの延長線とが交わる点をPとしてできる相似な三角形2組を順に使うと、

 ①△FCGと△PDGは相似で相似比10:3より DP=4׳⁄₁₀=1.2㎝

 ②△FCIと△PAIは相似で相似比4:11.2より CI:AI=5:14

よって△IFCの高さは平行四辺形ABCDの高さの⁵⁄₁₉倍とわかる。

 

以上より、

  △IFC=平行四辺形ABCDײ⁄₅×⁵⁄₁₉÷2=平行四辺形ABCD×¹⁄₁₉

と分かるから、平行四辺形ABCDの面積は三角形IFCの面積の19倍 完了