以前の記事の続きになります。
典型的なニュートン算の問題では「ある牧場に牛を30頭放すと30日で牧草を食べつくし、牛を20頭放すと50日で牧草を食べつくします…」のように、減っていく量の情報が具体的に示されています。
しかし、なかには最初に条件整理をしないとそういう具体的な情報が出てこないという問題もあります。ただでさえ難しいとされるニュートン算がいっそう難しいものになってしまうこととなります。
たとえば次のような問題です。
回転寿司(明治大学付属明治2019)
ある回転寿司店では、いくつかの寿司皿がすでにレーンに出ていて、これに5秒に1皿の割合で寿司皿がレーンに追加されます。A、Bの2つの団体がこのお店でお寿司を食べるとき、レーンの皿がはじめの⅔まで減るのに、Aだけだと10分、Bだけだと4分かかります。Aが5皿のお寿司を食べる間にBは8皿のお寿司を食べるとき、次の各問いに答えなさい。ただし、AとBはそれぞれ一定の割合でお寿司を食べるものとします。
⑴ Aは1分間に何皿のお寿司を食べますか。
どの情報をどう使うと必要な情報が出てくるか少し悩むところです。
「Aが5皿のお寿司を食べる間にBは8皿のお寿司を食べる」ので、Aが食べる速さを毎分⑤皿、Bが食べる速さを毎分⑧皿とおく。
レーンの皿が減る速さを考えると、「5秒に1皿の割合で寿司皿がレーンに追加」される(毎分12皿の寿司皿がレーンに追加される)から、Aだけで食べるときの減る速さは毎分(⑤-12)皿、Bだけのときの減る速さは毎分(⑧-12)皿。
かかる時間を考えると「A、Bの2つの団体がこのお店でお寿司を食べるとき、レーンの皿がはじめの⅔まで減るのに、Aだけだと10分、Bだけだと4分」かかるから、
(⑤-12)×10=(⑧-12)×4 より ㊿-120=㉜-48 だから ①=4
よって、Aが食べる速さ(毎分⑤皿)は 20皿
⑵ 初めにAだけで8分間食べ、次にBだけで食べるとき、レーンの皿がなくなるまでには、Aが食べ始めてから何分何秒かかりますか。
はじめにあった皿の数をまず求めると、「レーンの皿がはじめの⅔まで減るのに、Aだけだと10分」かかる。Aだけだとレーンの皿は毎分8枚(=20-12)減るので10分だと80枚減る。これが減ったあとは「はじめの⅔」になるので、はじめにあった皿は240枚(=80÷⅓)
Aだけで食べるとレーンの皿は毎分8皿(=20-12)減るから、「Aだけで8分間食べ」ると64皿減って、残りは240-64=176皿
この176皿をBだけで食べると、レーンの皿は毎分20皿(=32-12)減るから、
176÷20=8.8分=8分48秒
かかる。よってAが食べ始めてから16分48秒
おもちゃ工場(立教新座2020)
ある工場では、部品を組み立てて、おもちゃをつくる仕事があります。この工場には、すでに部品の在庫はありますが、仕事の開始日からも、毎日一定量の部品が入荷されます。最初の8日間、5人でこの仕事をしましたが、部品の在庫は仕事の開始日よりもおもちゃ4000個分増えてしまいました。その後12日間、10人でこの仕事をすると、部品の在庫は、おもちゃ19500個分になりました。さらにその後13日間、15人でこの仕事をしたところで、部品の在庫はすべてなくなりました。すべての人が毎日同じ個数だけおもちゃをつくるものとして、次の問いに答えなさい。
⑴ 1人が1日でつくるおもちゃは何個ですか。
さらに長文となり、どの情報をどう使ったらいいかがますますわかりにくくなっています。
「1人が1日でつくるおもちゃ」を①個とする。すると
1、最初の8日間は5人で仕事したら部品の在庫は開始日よりおもちゃ4000個分増えたから
(▢-⑤)×8=4000 より ▢-⑤=500…❶
2、その後13日間は15人で仕事したら部品の在庫はすべてなくなったから
(⑮-□)×13=19500 より ⑮-□=1500…❷
❶+❷をするとちょうど▢は消えて ⑩=2000 となり ①=200個
⑵ 1日に入荷される部品は、おもちゃ何個分ですか。
❶より ▢=500+⑤=1500個分
⑶ 最初に工場にあった部品の在庫は、おもちゃ何個分ですか。
最初の8日間で部品は「おもちゃ4000個分」増えた。
その後12日間は10人でこの仕事をしたので毎日500個(=200×10-1500)ずつ減っていき、計6000個分減った。
その結果がいまある在庫=「おもちゃ19500個分」なので、「最初に工場にあった部品の在庫」は
19500+6000-4000=21500個分