信号 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事に関連する話です。

 

前回はどのバスに乗れるかという問題でしたが、同じ発想で題材を信号に変えて、信号に引っかからずにうまく渡れるかとか信号待ちしたあと何時に追いつけるかといった形でもよく出題されています。

たとえば次のような問題です。

 

  信号待ちがある旅人算(青山2022)

 

太郎くんの家から300m離れた駅の途中には、100mおきに2つの信号機があります。この信号機はどちらも赤が1分、青が30秒点灯することをくり返します。太郎くんが8時に家を出て分速60mで歩くと、どちらの信号機でも信号待ちをして、8時5分36秒に駅に着きました。このとき、2つ目の信号を待つ時間は、1つ目の信号を待つ時間の3分の1でした。

⑴ 太郎くんが1つ目の信号を待って再び歩き出すのは、8時▢分▢秒です。

 

右矢印 太郎くんは「8時に家を出て分速60mで」「300m離れた駅」に向かい「8時5分36秒に駅に」着いた。ふつうに行けば300÷60=5分ちょうどで着くはずなので、2つの信号機で待ったのは36秒

このうち「2つ目の信号を待つ時間は、1つ目の信号を待つ時間の3分の1」だったから、1つ目の信号で待ったのは36×¾=27秒

この1つ目の信号まで家から100m。これを分速60m=秒速1mで歩くと100秒かかるから、ここに着いたのは8時1分40秒。そこで27秒待ったので、太郎くんが1つ目の信号を待って再び歩き出すのは8時2分7秒

 

⑵ 太郎くんが家を出てから3分後に、弟が自転車に乗り分速240 mで太郎くんを追いかけました。弟が太郎くんに追いつくのは8時▢分▢秒です。

 

右矢印 小問⑴より、太郎くんが1つめの信号に着いたのは8時1分40秒、出たのは8時2分7秒。2つめの信号に着いたのはその100秒後なので8時3分47秒。ここで36-9=27秒待ったから、太郎くんが2つめの信号を出たのは8時3分56秒だったとわかる。

また「赤が1分、青が30秒点灯する」1つめの信号と2つめの信号の青の時間も決まるから、これを上のような表にすると、弟が2つめの信号を出たのは8時4分2秒だったことがわかる。

 

2つめの信号を出たとき弟は太郎くんに6秒の遅れをとっている。2人の速さの比は60:240=1:4よりかかる時間の比は速さの逆比の4:1なので、弟はこの6秒の遅れを2秒で取り戻せる(太郎くんが8秒かかる距離を弟は2秒で進む)から太郎くんに追いつくのは8時4分4秒

 

 

  信号に引っかからない速さ(立正中2022第3回)

 

ある道の歩行者用の信号が「青」である時間はどれも20秒間です。下の図のように、歩いている方向に3つの信号A、B、Cがこの順番にあり、Aの信号をわたりきった地点からBの信号をわたる手前の地点までの距離は25m、Bの信号をわたりきった地点からCの信号をわたる手前の地点までの距離は65mで、わたる道のはばはどれも5mです。また、Aの信号が「青」になったあと20秒後にBの信号は「青」に、Bの信号が「青」になってから30秒後にCの信号は「青」に変わるようになっています。いま、リッくんはAの信号で信号が変わるのを待っていて、「青」になると同時に一定の速さで歩き出します。前方にあるB、Cの信号で待つことなく最短の時間でCの信号をわたりきるには、分速何mで歩けばよいでしょうか。ただし、信号の点滅は「青」とします。

 

右矢印 「信号が「青」である時間はどれも20秒間」なので、Aの信号が青になるのは0秒後から20秒後までと数える。このとき「Aの信号が「青」になったあと20秒後にBの信号は「青」に、Bの信号が「青」になってから30秒後にCの信号は「青」に変わる」から、Bの信号が青になるのは20秒後から40秒後まで、Cの信号が青になるのは50秒後から70秒後まで。

 

Cの信号

 

まずCの信号を止まらずに渡りきるための最速の速さといちばん遅い速さを考える。

  1. Aの信号の手前からCの信号の手前まで5+25+5+65=100m。ここにちょうど50秒で着くのが最速の速さで、それは100÷50=秒速2m。
  2. Cの信号を渡りきるところまでだと(Cの道はば5mを足して)105mある。これをちょうど70秒で渡りきるのがいちばん遅い速さで、それは105÷70=秒速1.5m。

となるとAC間の歩く速さは秒速1.5m以上2.0m以下であることが必要

 

Bの信号

 

つぎにBの信号を止まらずに渡りきるための最速の速さといちばん遅い速さを考える。

  1. Aの信号の手前からBの信号の手前まで5+25=30m。ここにちょうど20秒で着くのが最速の速さで、それは30÷20=秒速1.5m。
  2. Bの信号を渡りきるところまでだと(Bの道はば5mを足して)35mある。これをちょうど40秒で渡りきるのがいちばん遅い速さで、それは35÷40=秒速0.875m。

となるとAB間の歩く速さは秒速0.875m以上1.5m以下であることが必要

 

この2つを同時にみたす速さは秒速1.5mだけなので 分速90m 完了