2回の立体切断③ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

立体を2回切断した後の体積を求める問題では、切る順番を変えてみるとイメージしやすいものがあるという話の続きになります。

 

次のような問題でもこれをするとわかりやすくなります。

 

  切る順番を変える①(西大和学園2017県外)

 

1辺の長さが3㎝の立方体の8つのかどから、4つの面のうち3つが同じ直角二等辺三角形となっている三角すいを8つ切りとって右の図のような立体を作りました。このとき、点Aはもとの立方体の辺の真ん中の点となります。3つの点A、B、Cを通る平面で切断するとき、点Dのある立体の体積は▢㎤です。ただし、三角すいの体積は、(底面積)×(高さ)×⅓で求めることができます。

 

 

右矢印 「1辺の長さが3㎝の立方体」について「①三角すいを8つ切りとる→②ABCを通る平面で切断する」というのがいまの切断の順番。これを逆にして「❶ABCを通る平面で切断する→❷三角すいを8つ切りとる」という順番で考える

 

この立方体を❶ABCを通る平面で切断すると、立方体は2つの合同な立体に切られる。2つが合同であることは、反対側の(Dのない方の)立体をイメージしてみるとよくわかる。

 

 
なお「点Aはもとの立方体の辺の真ん中の点」であることしか書いてありませんが、BやCもまた「もとの立方体の辺の真ん中の点」であることは、切りとった8つの三角すいがすべて「4つの面のうち3つが同じ直角二等辺三角形」になったという説明から読み取れます。

となると、この段階で点Dのある方の立体の体積は(うえと同じ形なので)全体の半分となり

 3×3×3÷2=13.5㎤

 

つぎに❷三角すいを8つ切りとるが、このうちちょうど4コが切り口の手前側にある。点Dのある立体から切りとられるのはこの4コだけ。先ほどの図にかぶせて書くと次の赤い三角すい。

 

 

この切りとられる三角すい1つの体積は

 1.5×1.5÷2×1.5×⅓=0.5625㎤

これが4コあるから 0.5625×4=2.25㎤

 

よって 13.5-2.25=11.25㎤

 

 

  切る順番を変える②(早稲田中2022)

 

図の直方体は108㎤です。図の●は、各辺の長さを3等分しています。次の問いに答えなさい。

⑴ この直方体を3つの点D、P、Qを通る平面で2つの立体に切り分けるとき、小さい方の立体の体積は何㎤ですか。

 

右矢印 求める立体を△DAPを底面とする横長の三角柱とみると、この底面積(△DAP)はもとの直方体の底面積(四角形DAEH)の⅓倍、高さは同じなので、体積は直方体の⅓倍。

よって「小さい方の立体の体積」は

 108×⅓=36㎤

 

⑵ この直方体を3つの点D、P、Qを通る平面と、3つの点ADGを通る平面で4つの立体に切り分けました。この4つの立体のうち、点Eを含む立体について、
① 立体の見取図を完成させなさい。ただし、次の図には、その立体の見えている辺の一部は太線で、見えていない辺はすべて点線でかいてあります。

 

右矢印 次の通り。

 

⑵ 立体の体積は何㎤ですか。

 

右矢印 問題文には①「3つの点D、P、Qを通る平面」と②「3つの点A、D、Gを通る平面」とで2回切り分けたとしか書いてないが、この順番だと立体がイメージしにくいので、❶ADGを通る平面→❷DPQを通る平面という順番で切り分けたとして考えてみる。

 

❶まずADGを通る平面で直方体を切ったときにできる立体(三角柱)の体積は全体の½なので54㎤

 

❷このうちDPQを通る平面で切りとられるのは三角すい。この三角すいは、小問⑴で求めた三角柱と底面積(△DAP)が同じで、高さが⅔となっているので、その体積は

 36×⅔×⅓=8㎤

よって、求める立体の体積は54-8=46㎤ 完了