ニュートン算② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きになります。

 

これを鬼門とする小学生も一定数いるニュートン算ですが、出される問題はほとんどワンパターンなのでいったんマスターしてしまえば得点源にできるのもニュートン算です。

そんな中、少しヒネりを入れたニュートン算の問題も出されています。

たとえばこちらの問題。

 

あるゲームソフトの発売日に、パッケージ版希望の客とダウンロード版希望の客が1分あたり1:3の割合で来店しレジに並びます。販売開始からパッケージ版用のレジ1台、ダウンロード版用のレジ2台で対応したところ、10分後にパッケージ版用のレジは待ち人数が4人、ダウンロード版用のレジは待ち人数が27人になりました。このとき、次の各問いに答えなさい。ただし、パッケージ版用のレジ1台で4人が購入する間にダウンロード版用のレジ1台では5人が購入できます。(明治大学付属明治2021)

⑴ 販売開始から10分間に来店した客は全部で何人ですか。

 

 

そもそも『パッケージ版』と『ダウンロード版』の違いが分からず、問題の内容に入る前につまずいた小学生もいたのですが、これぐらいの言葉は何となくでも常識にしておく必要があるようです(もちろんこれを具体的に知らなくても解けるのですが、知らない言葉があるとそこから先は問題文が頭に入ってこなくなってしまう子も一定数いるようなので)。

右矢印 パッケージ版とダウンロード版それぞれについて❶レジの対応能力と❷来客数とに分けて考える。

 

レジの対応能力について「パッケージ版用のレジ1台、ダウンロード版用のレジ2台で対応した」こと、「パッケージ版用のレジ1台で4人が購入する間にダウンロード版用のレジ1台では5人が購入」できることから、

 パッケージ版用:ダウンロード版用=4×1:5×2=2:5

という関係がある。
 

来客数について「バッケージ版希望の客とダウンロード版希望の客が1分あたり1:3の割合で来店しレジに」並ぶから、「販売開始から10分間に来店した客」を④とおくと、このうちバッケージ版希望客は①、ダウンロード版希望客は③。

 

そして「10分後にパッケージ版用のレジは待ち人数が4人、ダウンロード版用のレジは待ち人数が27人」いたことから、このうち実際にレジ対応できたのは、バッケージ版希望客が(①-4)人、ダウンロード版希望客が(③-27)人。

 

来客数をタンクに水を入れるときの給水量、レジの対応能力を排水量と同じように考えてこれを図にすると次の通り。

これを比例式にすると

 (①-4):(③-27)=2:5 より ⑥-54=⑤-20 となり ①=34  

 

よって「10分間に来店した客」の合計は 34×4=136人

 

 

⑵ レジ待ちの人数を減らすために、販売開始10分後からダウンロード版用のレジを4台に増やしました。レジ待ちの合計人数が初めて9人以下になるのは、販売開始から何分何秒後ですか。

 

右矢印 小問⑴をふまえて、販売開始後10分間の状況を1分あたりに直して図にすると次の通り。

つまり「販売開始10分後からダウンロード版用のレジを4台に」増やした(それまでは2台だった)ので、そこから先は青の矢印のように、ダウンロード用レジの対応能力は毎分15人に倍増する。

 

このとき、ダウンロード用レジでは毎分4.8人の割合で(=15-10.2)人が減っていくが、パッケージ用レジでは減るどころか逆に毎分0.4人ずつ(=3.4-3)増えていくのがわかる。それでもレジ全体でみると毎分4.4人ずつ人が減っていき、いま残っている合計31人は5分後にはちょうど9人になる(31-4.4×5=9)。

 

これは「販売開始から」数えると15分0秒後 完了