継子立て(ままこだて) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事に関連する話です。

 

中受生なら一度は問題集で取り組んだはずの「継子立て(ままこだて)」が今回のテーマです。

いちばん基本的なバージョンを取り上げましたが、1、2回問題に当たったぐらいではなかなか本番で対応できないはずなので、時間のあるときにしっかりマスターしておきたいところです。

 

図のように、上から順に1から80までの番号が書かれた80枚のカードを重ねた山があり、次の[操作]をくり返し行い、このカードの順番を入れかえます。
[操作]一番上のカードを山から取り出し手元に置く。そして、次のカードを山の一番下に入れる。
このとき、次の問いに答えなさい。(箕面自由学園2020)

①[操作]の繰り返しで20回目に山から取り出されるカードの番号を、理由をつけて答えなさい。

 

継子立ての問題で注意したいのは、ルールが少しずつ違う(大きいのは1枚目を捨てるか2枚目を捨てるか)ことのほかに、用語の違い(本問では「取り出し手元に置く」=カードを捨てる行為)や操作回数の数え方の違い(本問では2枚の処理を1回と数える)などです。

 

右矢印 「取り出されるカード」(捨てるカード)ではない方の「山の一番下に入れる」カード(残るカード)の方に注目すると、1回目の操作で2が残り、2回目の操作で4が残り、…となるから、20回目の操作で20×2=40が残る。

とすると「20回目に山から取り出されるカード」はその一つ前の39

 

学校から公式解答が出ていますのであわせて載せておきます。

操作を1回する度に奇数のカードが取り出され手元に来るから、20回の操作では、20番目の奇数のカードが取り出される。よって、2×20-1=39となり、39の番号のカードが取り出される。

 

 

②[操作]を繰り返していったとき一番最後まで山に残るカードの番号を、理由をつけて答えなさい。

 

表で整理すると次のようになります。

*取消し線つき数字は「取り出されるカード」、太字は「山に残るカード」

 

カッコつきの数字は次の周に入るときの最初の数ですが、どこかで最初の数え方がずれるポイントがあるという問題がほとんどなので(本問だと5周め→6周めのところ)これを書いておくと間違いも少なくなるはずです。

 

理由つきで答える問題なので、こちらは学校の公式解答をそのまま引用します。

最初の40回の操作で偶数のカードが山に残る。
次の20回の操作で4の倍数のカードが山に残る。
次の10回の操作で8の倍数のカードが山に残る。
次の5回の操作で16の倍数のカードが山に残る。
この時点で山に残ったカードは16、32、48、64、80の5枚。
ここからの操作は、16を取り出し32が残り、48を取り出し64が残り、80を取り出し32が残り、64を取り出し32が残る。よって、32の番号のカードが一番最後まで山に残る。

 

 

ちなみに、
①残りが4枚、8枚、16枚、32枚、64枚…など「2どうしのかけ算」になったときに一番上にあるカードが必ず残る。
②最後に残る数字はつぎの公式で求められる。
(カード枚数-それ以下の「2どうしのかけ算」で最大のもの)×2
これを本問で使うと、80以下の「2どうしのかけ算」で最大のものは64なので (80-64)×2=32と瞬殺できる。

などとおぼえている小学生もいるかも知れません。

ただ、①は基本的に正しいとしても、②は1枚目を取りのぞく問題でしか成り立たないので注意が必要です(逆に1枚目を残す問題だと「×2」の部分は「×2+1」に変わる。たとえば本問がもし2枚目を捨てていく問題だったら最後に残るのは33となる)。
また、継子立ては1枚おきに取りのぞくのが基本型ですが、たとえば次のように2枚おきにとりのぞく問題ではそのままでは通用しません。その仕組み(原理原則)だけをしっかりおさえておき、どんな継子立ての問題でも現場で柔軟に対応できるようにしておきたいところです。

 

継子立ての変化形(フェリス2021)

次のにあてはまる数をそれぞれ求めなさい。
1~400までの整数が1つずつ書かれたカードを重ねます。上から1枚目には1、2枚目には2、…、400枚目には400と書いてあります。はじめに、上から数えて3の倍数枚目のカードを取りのぞきます。このとき、残ったカードの上から枚目には286と書かれています。

 

右矢印 1つおきに取る(2の倍数で考える)ふつうの継子立てと違い、「3の倍数」がポイントとなっているので3枚1組にして考える。つまり

 <1、2、3><4、5、6>…<283、284、285><286、287、288>…

と組分けし、それぞれの組の右端の数が取りのぞかれていくと考える。

このとき「286」は288と同じ組にあるが、第1組の右端の数字が3、第2組の右端が6…となっていることから、右端が288なら第96組(=288÷3)。

よって、286までに2枚×95組分=190枚のカードが残っているから 191枚目

 

続けて、残ったカードについても、同じように上から数えて3の倍数目のカードを取りのぞきます。最後に残ったカードの上から47枚目に書かれている整数はです。

 

右矢印残ったカード」(3枚セットの最初の2枚)がいまどう並んでいるか確認すると

 <1、2><4、5><7、8><10、11><13、14><16、17>…

となっている。ここから「3の倍数目のカード」を取りのぞくと4、8、13、17…が取りのぞかれて、1、2、5、7、10、11、14、16…が残る。

これを

 <1、2、34、5、6、7、89

のように9枚1組に整理し直すと、そのうち4枚(各組の1枚目、2枚目、5枚目、7枚目)が規則的に残っていくことがわかる。

よって47÷4=11あまり3より、第12組の左から3番目にある整数をさがせばよい。

その第12組は<100、101、102103、104、105、106、107108>となっているから

  104 完了