以前の記事の続きです。
いもづる算は表にして書き出していくなど時間をかければほぼ必ず正解にたどりつけます。ただ入試はもちろん時間とのたたかいなのでできるだけ時間をかけたくないところで、いもづる算もなるべく計算だけですばやく解けるよう仕上げておきたいものです。
たとえば以前少し紹介した次のような解き方もあり、いもづる算の解法の引出しを増やしておくのがおすすめです。
2つのいもづる算(神戸女学院2020)
1冊176円のノートと1冊308円のファイルを買うことにしました。4004円をすべて使い切るには、ノートとファイルをそれぞれ何冊ずつ買えばよいですか。ノートをA冊、ファイルをB冊買うことを(A、B)のように表して、考えられるすべての場合を答えなさい。ただし、買わないものがあってもよいものとします。
ふつうに式をたてたあと、左辺に1つだけ分数が残るところまで割ってしまうのがわかりやすいです。
条件を整理すると「1冊176円のノートと1冊308円のファイル」で「4004円」になり「買わないものがあってもよい」。ノートをA冊、ファイルをB冊買うとすると
176×A+308×B=4004
ぜんぶを4で割ると 44×A+77×B=1001
11の倍数っぽいのでぜんぶを11で割ると 4×A+7×B=91
さらにぜんぶを7で割ると ⁴⁄₇×A+B=13
ここからAは7の倍数と分かり、A=0、7、14、21の4つだけがこの式の条件に合うことがわかる。よって
(A、B)=(0、13)(7、9)(14、5)(21、1)
3つのいもづる算(洛星2018)
90円の黒ペン、100円の赤ペン、108円の青ペンを合わせて21本買ったところ代金は2018円でした。黒ペン、赤ペン、青ペンをそれぞれ何本ずつ買いましたか。考えられるものをすべて答えなさい。
代金の合計「8円」にまず注目すると、青ペンを少なくとも1本は買うのは間違いない。そこでいったん青ペン1本を引いて考える。つまり「90円の黒ペン、100円の赤ペン、108円の青ペンを合わせて20本買ったら代金1910円」といったん問題文を読みかえて考える。
そのうえで90円の黒ペンをA本、100円の赤ペンをB本、108円の青ペンをC本買うとすると
90×A+100×B+108×C=1910…①
合わせて20本買ったので A+B+C=20
このぜんぶを90倍すると 90×A+90×B+90×C=1800…②
①と②を見くらべて 10×B+18×C=110
このぜんぶを10で割ると B+⁹⁄₅×C=11
ここからCは5の倍数と分かり、Cは0か5のどちらか。
つまり(C、B)は(0、11)か(5、2)の2通りに決まる。
ここに青ペン1本をもどすと(青1、赤11)(青6、赤2)の2通りに決まる。
それぞれに対応する黒ペンの本数も自動的に1つ決まり
(黒9本、赤11本、青1本)か(黒13本、赤2本、青6本)
2つと3つのいもづる算(久留米大学附設2016)
1個70円の商品A、1個120円の商品B、1個200円の商品Cがあります。これらの商品をいくつかずつ買うことを考えます。次の問いに答えなさい。答え方は、例えば、Aを1個とBを2個買う場合は、(A,B)=(1,2) と書きなさい。
⑴ AとBを合わせて15個買ったとき、代金が1250円になりました。AとBをそれぞれ何個ずつ買いましたか。
個数の合計(15個)も代金の合計(1250円)も分かっているのでふつうのつるかめ算の問題。「1個70円の商品A、1個120円の商品B」より (A,B)=(11,4)
⑵ BとCをいくつかずつ買ったとき、代金が1760円になりました。BとCをそれぞれ何個ずつ買いましたか。考えられる組をすべて答えなさい。
「1個120円の商品B、1個200円の商品C」を買ったときの「代金が1760円」よりBを少なくとも3コ買ったのは間違いない。そこで最初から B×3=360円を引いて「BとCを0コ以上ずつ買ったら代金が1400円に」なったものと問題文をいったん読みかえて考える。
すると 120×B+200×C=1400
ぜんぶを40で割って 3×B+5×C=35
さらに全部を5で割って ⅗×B+C=7
ここからBは5の倍数とわかり、しかもBは0か5か10の3通りに決まる。
それぞれに対応してCが1つ決まるから(B,C)は(0,7)(5,4)(10,1)の3通り。
よって読みかえた問題文をもとに戻して(Bに3コ足して)
(B,C)=(3,7)(8,4)(13,1)
⑶ AとBとCをいくつかずつ買ったとき、代金が790円になりました。AとBとCをそれぞれ何個ずつ買いましたか。考えられる組をすべて答えなさい。ただし、どの商品も1個は買ったものとします。
「1個70円の商品A、1個120円の商品B、1個200円の商品C」があり「どの商品も1個は買った」ことから、「AとBとCをいくつかずつ買ったとき、代金が790円に」とある問題文を(A×1+B×1+C×1=460円を引いて)「AとBとCを0コ以上ずつ買ったら代金が400円に」なったものといったん読みかえる。
すると 70×A+120×B+200×C=400
ぜんぶを10で割って 7×A+12×B+20×C=40
さらに全部を4で割って ⁷⁄₄×A+3×B+5×C=10
ここからAは4の倍数とわかり、Aは0か4の2通りに決まる。
❶A=0のとき 3×B+5×C=10
このぜんぶを5で割った式 ⅗×B+C=2 より、B(5の倍数)は0に決まる。
❷A=4のとき 3×B+5×C=3
このぜんぶを3で割った式 B+⁵⁄₃×C=1 より、C(3の倍数)は0に決まる。
したがって❶❷より(A,B,C)は(0,0,2)か(4,1,0)の2通り。
よって読みかえた問題文をもとに戻して(それぞれ1コずつ足して)
(A,B,C)=(1,1,3)(5,2,1)