つるかめ算の発展形としていもづる算があります。つるかめ算から変数が1つふえることから「つるかめカブトムシ算」と呼ばれたりもします。中堅校から難関校まで頻出ですが、これを苦手とする小学生は少なくないようです。その背景に、いもづる算の解法や解説がなんかすっきりしないことがあるように思います。
いもづる算の典型的な解法は、表を書きながらまず候補を一つ見つけ出し、そこからいもづる式にほかの候補を見つけていき(いもづる算の名の由来)、最後に条件に合うものにしぼり込むというもの。基本的に式を使わないので解法というよりは考え方に近く、問題集の解説も長めになるのは不可避で、そんな長い解説どおりに現場で時間内で再現できる小学生がどれだけいるのかなという疑問もあります。
いもづる算は次のように式を立てて考えるのが最速タイムで解けるオススメの解法です。
ある自動販売機では100円と130円と150円の3種類の飲み物が買えます。買わない種類の飲み物があってもよいこととするとき次の問いに答えなさい。ただし、売り切れは考えないものとします。
(2)ちょうど1000円でおつりなく買うことのできる飲み物の買い方は何通りありますか。
(3)ちょうど1800円でおつりなく買ったとき、本数が15本となる飲み物の買い方は3通りあります。どの種類を何本ずつ買えばよいかすべて答えなさい。(海陽中2022Ⅱ、小問⑴略)
(2)ちょうど1000円でおつりなく買うことのできる飲み物の買い方は何通りありますか。
❶そのまま式にする
「100円と130円と150円の3種類の飲み物」をそれぞれA本、B本、C本買うとして、そのまま代金の式を作ると
100×A+130×B+150×C=1000
両辺を10で割って
10×A+13×B+15×C=100
ふつうはここで止めて、次の作業(「右辺は5の倍数だから左辺も5の倍数となり…」などと考えながら数字を具体的に入れたり交換したりの作業)に入るところだがそうしない。
❷左辺に分数が一つ残るようにさらに両辺を割る
さらにあえて左辺に1つだけ分数が残るように式の両辺を5でわると
2×A+ ¹³⁄₅ ×B+3×C=20
ここからBは0か5の二択にしぼれるので場合分けする。
㋐Bが0のとき
2×A+3×C=20
ここでもあえて左辺に1つだけ分数が残るように両辺を2でわると
A+ ³⁄₂ ×C=10
ここからCは0、2、4、6のどれかだとわかり(それぞれに対応するAも10、7、4、1と一つに決まり)ここで4通りある。
㋑Bが5のとき
2×A+13+3×C=20 2×A+3×C=7
これをみたすのはA=4、C=1の1通り。
以上で計5通り。
(3)ちょうど1800円でおつりなく買ったとき、本数が15本となる飲み物の買い方は3通りあります。
❶そのまま式にする
そのまま代金の式と本数の式を作ると
100×A+130×B+150×C=1800…①
A+B+C=15…②
①の両辺を10でわり、②の両辺に10をかけると
10×A+13×B+15×C=180
10×A+10×B+10×C=150
これらを見くらべて
3×B+5×C=30
❷左辺に分数が一つ残るようにさらに両辺を割る
さらにあえて左辺に1つだけ分数が残るように両辺を5でわると
⅗ ×B+C=6
ここからBは0、5、10の3つとわかり、Cは6、3、0がそれぞれ対応する。
このときAは9、7、5がそれぞれ対応するから、求める100円、130円、150円の組合せは
(9本、0本、6本)(7本、5本、3本)(5本、10本、0本)
まとめると、いもづる算のポイントは式を立てたあとにあえて左辺に1つだけ分数が残るところまでわり算をするということです。ただし、左辺に1つだけ分数が残るようなわり算ができない問題もときどきあり、その場合には残念ながら使えないのですが。