浮き輪が登場する流水算 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

流水算の問題で浮き輪が登場するものがあります。初見だとかなり苦労するはずなので、一度は解いておきたい問題です。

 

また、この浮き輪の考え方は「船のエンジンが30分間止まった」(=船が浮き輪状態になった)という問題などに応用できることがあります。

A地点から川の上流に向かってボートをこいで行きます。出発してから20分後に、流れてくる浮き輪とすれちがいました。その後、上流のB地点まで行きすぐ引き返したところ、ボートは流れていた浮き輪と同時にA地点に着きました。静水時のボートの速さが時速6km、川の流れの速さが時速2kmのとき、次の各問いに答えなさい。(日本大学中2019)

⑴ A地点から浮き輪とすれちがった地点までの距離は何kmですか。

 

右矢印 「静水時のボートの速さが時速6km、川の流れの速さが時速2km」より「A地点から川の上流に向かってボートをこいで」行くときの速さは2つの速さの差となり時速4km

浮き輪とすれちがったのは「出発してから20分後」なので、

 時速4km×20分÷60分=⁴⁄₃km

 

 

⑵ ボートがAB間を往復するのにかかる時間は何分ですか。

 

右矢印 まず「川の流れの速さが時速2km」なので浮き輪の速さも時速2km

 

ここまでの情報でダイヤグラムを書いてみる。具体的な時間があった方が考えやすいので、出発したのが8時、浮き輪とすれちがったのが8時20分として考える。

 

そして本問のような「浮き輪問題」で必ずおさえておくポイントとして、図の㋐と㋑の時間はいつも同じになる。

 
㋐のところはの距離を速さの和6㎞(=4km+2km)で出会うときの時間、㋑のところは速さの差6km(=8km-2km)で追いつくときの時間ということがわかります。

浮き輪は⁴⁄₃kmの距離を時速2kmで進むから、その移動にかかる時間(㋐+㋑)は²⁄₃時間=40分。そして「ボートは流れていた浮き輪と同時に」A地点に着いたから、ボートも同じ9:00に着いたことがわかる。

よって「ボートがAB間を往復するのにかかる時間」は60分

 

 


⑶ AB間の距離は何kmですか。

 

右矢印 「AB間の距離」は時速8kmのボートが㋑=20分で進む距離だから

 時速8km×⅓時間=⁸⁄₃km