回転体の体積を求めるときにはパップス=ギュルダンの定理を活用したい(正面切って使える定理ではないけど)という話を前にしました。
回転体の問題では、体積のほかに表面積がきかれることもあります。パップス=ギュルダンの定理がその威力をより発揮するのはむしろこちらの方かもしれません。
体積を求めるときは「円柱や円すいは面を回転させたもの」という考え方を使ったのに対し、表面積を求めるときは「面は線を回転させたもの」という考え方になります。
たとえば次の問題。
下の図形を直線𝓵を軸として1回転させてできる立体の表面積は▢㎠です。(国府台2019)
これを回転させると次のような形になる。
この表面積を3つの部分に分けて考える。
❶円すいの側面(青)…12×6×3.14
長さ12㎝の母線が直径6㎝の円(母線の真ん中からはかった)の円周上を回ったと考える。
❷円柱の側面(赤)…3×6×3.14
高さ3㎝の線が直径6㎝の円の円周を回ったと考える。
❸円すいの底面と円柱の底面はまとめて一つの円として考える(黄)…6×6×3.14
これらをたすと(共通する6×3.14でまとめて分配法則より)
(12+3+6)×6×3.14=126×3.14=395.64㎠
おうぎ形の表面積を求めるときの思考ステップ「母線と半径がこれこれだから中心角は…」のところが省けるので、パップス=ギュルダンの定理による時短効果は表面積を求めるときの方が圧倒的に大きいことがわかります。
最後に、本題とは直接関係はないのですが、表面積を求める問題で体積を求めてしまうという凡ミスが小学生にはめちゃくちゃ多いので、この読み違えが絶対におきないような対策にも早いうちから意識的に取り組んでおきたいところです。