天びん図や面積図を使わない食塩水の入試問題(その2) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

食塩水を交換するタイプの問題では、天びん図や面積図ではなく、やり取り図(ビーカー図)を使うのが基本です。やり取り図を問題文どおりにきちんと書ければ得点できるという問題も少なくないのでしっかりとマスターしておきたいところ。

たとえば次のような問題です。

 

  食塩水の交換の典型問題(西大和学園中2021本校)

 

容器Pには濃度が12%の食塩水が400g、容器Qには濃度が7%の食塩水が100g入っています。まず、容器Pから150gとって容器Qに移し、よくかき混ぜたあと、容器Qから100gとって容器Pに移しました。さらに、容器Pに水を150g入れてよくかき混ぜると容器Pの食塩水の濃度が▢%になりました。

 

西大和学園中の算数20年 2022年度受験用 赤本 1908 (難関中学シリーズ)

 

右矢印 やり取り図(ビーカー図)がきちんと書ければ難なく解けてしまう典型問題といえます。

やり取り図の書き方にはバリエーションがありますが、

のように、線の下(分数でいうと分母の場所なので以下「分母」とよぶ)に食塩水全体の量、線の上(「分子」)に食塩の量を暗算で出して入れる(見やすさ重視。濃度は書かない)というシンプルなものがオススメです。具体的な手順は次のとおり。

 

❶「容器Pには濃度が12%の食塩水が400g、容器Qには濃度が7%の食塩水が100g

 

上記のとおり、Pの食塩の量は48g、Qは7gと暗算してそれぞれの「分子」とし、食塩水の量を「分母」にしてやり取り図に記入する。

 

❷「容器Pから150gとって容器Qに移し


「分母」150、「分子」18(濃度12%より)がPからQに移ることを図に記入。Pの下にはこれを引き算した残りを、Qの下にはこれを足し算した結果をそれぞれ記入する(分数ではないのでこのように「分母」どうし、「分子」どうしで自由に足し算引き算できるのがやり取り図の最大のメリット)

 

 

❸「容器Qから100gとって容器Pに移し」「容器Pに水を150g入れ

 

同じようにして図を完成させると、Pは食塩40gを含んだ500gの食塩水とわかり ▢=8%


 

 

 

  <類問>途中の数字がわからない食塩水の交換(頌栄女子学院2018)

 

容器Aには濃度が6%の食塩水が300g、容器Bには濃度が▢%の食塩水が500g入っています。Aから200gの食塩水をくみ出し、Bに入れてよくかきまぜます。次にBから200gの食塩水をくみ出しAに入れてよくかきまぜます。Aの食塩水の濃度は5.2%になりました。

 

30 頌栄女子学院中学校 2023年度用 4年間スーパー過去問 (声教の中学過去問シリーズ)

 

このように途中の数字がわからない問題パターンもあります。このパターンは最後の結果から上に戻っていくとうまくいくことが多いので、わからないところはひとまず●などとおいてどんどん書き進めていくことをします。

 

右矢印 そのままやり取り図にすると次のとおり。

最後にできたビーカーAに注目すると「分子」で 15.6=❷+6 となっているので ❷=9.6 とわかる(濃度4.8%)。

その上のビーカーBを見ると、これも同じ濃度なので ❶=700×4.8%=33.6。

そして最初のビーカーBを見ると ▢+12=❶ より ▢=21.6。

よって容器Bの濃度は 21.6÷500=4.32%