以前の記事の続きになります。
逆比をうまく利用したら解けるという問題も、さすがにそのまま出されることはあまりありません。問題文の書き方を工夫して逆比の問題だということを見えにくくしたり、状況設定を工夫して逆比を使う前に少し別処理が必要だったりというように、何らかのヒネりが入っている場合がほとんどです。
たとえば次のような感じです。
流水算(本郷中2021)
毎時0.6kmで流れている川があります。下流にA地点、上流にB地点があり、A地点とB地点の間を静水での速さが一定の船で往復したところ、A地点からB地点まで進むのに9時間、B地点からA地点まで進むのに6時間かかりました。このとき、A地点と減とB地点の間は何㎞離れていますか。
速さの比はかかった時間の逆比という点は流水算でも同じだが、船の速さと川の流速は分けて考える必要がある。
「A地点からB地点まで進むのに9時間、B地点からA地点まで進むのに6時間」かかったので、流速を入れた速さの比は 上り:下り=⑥:⑨。「静水での速さが一定の船」なのにこの差③が生じたのは流速があるから。流速は上りと下りで逆方向にはたらくから、その速さを×2した毎時1.2㎞が③とわかり、①=毎時0.4㎞。
これを使って上り(A→B)で考えると、上るときの速さは0.4×6=毎時2.4㎞。この速さで「A地点からB地点まで進むのに9時間」かかったのだから 2.4×9=21.6㎞
仕事算(帝塚山学院泉ヶ丘2022)
算数の教科書にある練習問題を、Aさんは毎日6題ずつ解き、最終日にも6題を解いてすべての問題を解き終えました。また、Bさんは毎日8題ずつ解き、最終日には6題を解いてすべての問題を解き終えました。すべての問題を解きおえるのに、AさんはBさんより4日多くかかりました。この教科書にある練習問題は全部で何題ですか。
最終日をのぞき「Aさんは毎日6題ずつ」「Bさんは毎日8題ずつ」解く。1日当たり仕事量の比はかかった日数の逆比なので、最終日の前日までにかかった日数は A:B=⑧:⑥。この差②が4日(最終日はどちらも1日なので差はつかず)なので ①=2日。
これを使ってAについて考えると、Aは最終日の前日までに⑧=16日かかり、最終日も入れると17日かかってすべての問題を解き終えた。Aは「毎日6題ずつ解き、最終日にも6題」解いたことから 6×17=102題
売買損益(国府台2020推薦)
原価▢円の品物に2割の利益を見込んで定価をつけました。定価で30個売ったときの利益と定価の50円引きで60個売ったときの利益は同じになります。
受験生正答率20%以下だった問題(学校発表)。
1個あたり利益で考える。全体の利益が一定のとき、1個あたり利益の比は売れた個数の比の逆比になる。
「定価で30個売ったときの利益」=「定価の50円引きで60個売ったときの利益」より、売れた個数の比が1:2なので、1個あたり利益はその逆比の②:①。この差①が50円なので、定価に見込んでいた1個あたり利益②は100円とわかる。これが「2割の利益」にあたるから、原価は500円