大問2の一行問題で狙いたい5分の時間節約術 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事で、計算間違いを減らす究極の方法は計算をしないで解くことだとお伝えしました。

 

大問2の一行問題についてもまったく同じことが言えます。今回取り上げるのは今年の入試問題で、このポイントを見直すだけで合計5分の計算時間の節約ができそうな、そういう3問連続の一行問題です。

 

(1)ある品物を、定価の3%引きで売ると7100円の利益が出て、定価の2割引きで売ると1400円の損失が出ます。この品物の定価はいくらですか。

(2)½より大きくより小さい分数のうち、分母が11になる分数をすべて足した数を答えなさい。

(3)花子さんの腕時計は1日に2分おくれ、目覚まし時計は1日に4分進みます。花子さんは、週に1回2つの時計を同時に正しい時刻に合わせます。日曜日の朝に目が覚めたとき、腕時計は午前6時17分、目覚まし時計は午前6時26分をさしていました。最後に正しい時刻に合わせたのは、目が覚めたときから何時間前ですか。

(洗足学園2022第3回)

 

 

 

 

右矢印 いずれの問題も解答として何が求められているのかを正しく意識し、正解を導くための必要最小限の情報だけ出すことを心がける(という学校側のメッセージが読み取れる良問揃いだと思います)。

 

(1)売買損益の問題だとまず原価を出したくなるが本問では原価を求める必要はない

「定価の3%引きで売ると7100円の利益が出て、定価の2割引きで売ると1400円の損失」より、定価の17%(=2割-3%)が8500円(=7100円+1400円)にあたるとわかるから、定価は50000円(=8500÷17%)

 

(2)分母が異なる分数問題だとまず通分したくなるが本問では通分する必要はない

½より大きくより小さい分数のうち、分母が11になる分数」を探すだけなので、それぞれの分母を無理やり11にそろえてしまえばいい。すると

   

より、対象となる分数は ⁶⁄₁₁⁷⁄₁₁⁸⁄₁₁⁹⁄₁₁ の4つ。その和は ³⁰⁄₁₁

 

(3)くるった時計の問題だとまず正しい時刻を求めたくなるが本問では正しい時刻を求める必要はない

「花子さんの腕時計は1日に2分おくれ、目覚まし時計は1日に4分進みます」より、腕時計と目覚まし時計の進み方のズレは1日6分。「日曜日の朝に目が覚めたとき、腕時計は午前6時17分、目覚まし時計は午前6時26分」より、目が覚めたときのズレは9分。よって、最後に正しい時刻に合わせたのは目が覚めたときから 1.5日前(=9÷6)つまり36時間前