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【幸せな国】

だれかが叫んだ。

「幸せな国を作ろう!」

「そうだ!そうだ!」

「どうすればいい?」

「不幸せなことはやめるんだ。」

「そうだ!そうだ!」

「じゃあ、不幸せなことは?」

「最初に小学生に聞いてみよう。」

「ぼくは、かけっこがにがてです。

かけっこはかならずいっとうになるようにしてください。

じゃないとふしあわせです。」

大臣たちが集められ閣議で議論された。

100m走は、100.0000001m走から0.0000001m刻みに100.0499999m走まで用意された。

選手は、日本の小学生一人一人が異なった距離を走る。

かならずその競技では一番になる仕組みだ。

子供たちみんなが喜んだ。

総理大臣は、国民の幸福度が上がったと言って手放しで喜んだ。


次に中学生に聞いてみた。

「私は偏差値が低いので入れる高校がないと言われました。不幸せです。」

大臣たちが集められ閣議で議論された。

高校の数を、受験生の数だけ作ろう。

一人一校制だ。

必ず高校に入れるようになった。

中学生みんなが喜んだ。

総理大臣は、国民の幸福度が上がったと言って手放しで喜んだ。



次に高校生に聞いてみた。

「僕は、ガールフレンドがいません。ガールフレンドがいないのは不幸せです。」

大臣たちが集められ閣議で議論された。

ボーイフレンドが欲しい女子高生と抽選で組み合わせればいい。

高校生みんなが喜んだ。

総理大臣は、国民の幸福度が上がったと言って手放しで喜んだ。


次に大学生に聞いてみた。

「何10社も受けたんですが、まだ内定もらっていません。不幸せです。」

大臣たちが集められ閣議で議論された。

すべて公務員として採用すればいい。

大学生すべてが喜んだ。

総理大臣は、国民の幸福度が上がったと言って手放しで喜んだ。


この調子であらゆる競争が排除されていった。

国民はとても幸福になったと思われた。


政府は一般の人たちに街頭インタビューした。

「あなたは、幸福ですか?」

「不幸せな人がいなくなったんで、つまらないです。

どっちかというと不幸せな気分です。」

大臣たちが集められ閣議で議論された。

そして公務員募集がなされた。

「不幸せ要員募集。各地に派遣されたうえで不幸せになってもらいます。」

応募するものがいなかったため、大臣たちが派遣された。



総理大臣がつぶやいた。

これで自分の座を脅かすものはいなくなった。

自分が一番幸せだ。


「院長!あのクスリは成功のようです。患者の表情は幸福感に満ちています。」

「この幻覚剤は、充分な多幸感をもたらすことが証明された。

じゃあ、大統領に報告しよう。ところで、キミ!生産は順調に進んでいるかね。」

「もちろん、あの国の国民すべてに行きわたる分は生産が完了しています。」

「あとは、首脳会談でうまくやるだけだな。」

(了)

【2014年12月記】





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